リピーターの意外な離反プロセス「認知的過剰協和」

■認知的不協和の除去
マーケティングにおいて認知的不協和の除去は重要なテーマである。
人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態に遭遇したとき、 人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更し、一貫性を維持しようとする、と考えられている。


商品であれば「本当にこれを買って良かったのか?」といった疑念を消すために、自分の購買行動を正当化する行動である。これに対し、企業側がこれを和らげるためのメッセージを出すことが顧客育成に意味を持つのである。


認知的過剰協和の発生
もう一方で、消費者が過剰な一貫性を取る場合がある。これを「認知的過剰協和」と名づけて探求してみよう。


消費者がトライアラーとなって自社商品を購入したとして、顧客満足が高ければリピートするはず、というのが原則である。「新しい商品を購入してみたが、非常に良かった。だから、またこの商品を購入しよう」と期待するのが普通である。しかし、意外な離反の可能性も存在する。


「新しい商品を購入してみたが、非常に良かった。新しい商品には良いものが多い。だから、また違った新商品を購入してみよう」というパターンで離反してしまうことである。従来はイノベーターがそれにあたると言われているが、通常の人々で起こりうるのである。


なぜなら、自社商品のトライアルを獲得するためには、何らかの形で通常の関与度だったものを高い関与度に変える必要があり、その影響で顧客の商品カテゴリー全体への関与を高めることがあり得るからだ。


これらは嗜好度合いに幅のある商品カテゴリーで起きやすい。ミディアム価格帯の化粧品、テニスのラケットやゴルフ・クラブのようなスポーツ用品、街乗り用の自転車、都市近郊の温泉旅館など、入れ込み度合いに個人の幅が存在するものが特に対象となる。


トライアルとリピートの構造(pdf)


■トライアルで発生した関与度を自社商品で吸収する
消費者が一回利用すると商品側が持っている情報量は確実に減少する。
常に、情報量に関して「商品側>消費者側」をキープすることでこれを是正し、「まだ何かある」という探求願望を自社商品に向かせることが重要となる。


媒体の選択としては時間性―コスト性からWeb中心となるが、ここでの作業を惜しまないことで①顧客離反阻止の歩留まりを高め、かつ、②トライアルに不必要な情報をこれから来る潜在顧客に見せないという両方を追求する。


・中価格帯の化粧品→利用の仕方、利用者参画の肌改善状況など
・普段系のスポーツ用品→ブランド主催のワンポイント・セミナーの様子配信など
・街乗り用の自転車→ブランド・アンバサダー(アイコンとしての有名人)のツーリング様子紹介など
・都市近郊温泉旅館→季節性がある自主イベント(紅葉散策、地元酒の利き酒会など)の紹介


商品情報の移動(pdf)


これらは、ディープな情報が常に存在していることにより、顧客の意識の中に、次に購入を検討する際の手がかりを作っておくことを意味する。
よって、参加型のものでも参加してもらうのが目的ではない。「興味を掻き立てられる何か」の信号を点滅させておくことこそが狙いである。


2009.6.24

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