「中小企業のロングセラー商品創り」

2001年5月に書かれたもの


■ロングセラー商品を育て、収益性の高い商品にするためには以下の項目に留意したい。


1、  商標登録をする
発売までの準備として、ブランド名を創っておき、それを登録しておくことが大切である。ロングセラーになるまでには似たような商品との戦いが必ずある。そんな時期を乗り越えるためにも、自社しか持っていないブランド名を主張すべきである。多くの中小企業はあまり考えずに、会社名とカテゴリー名を一緒にしただけの名前にするが(「安原工業の電動ゴマ擦り機」など)、これは大企業の社名と比較されるだけだ。こちらが商品ブランド名で勝負すれば、競合も何らかの商品ブランド名を用意する可能性が高い。これはスタートが同じという意味で、企業名での戦いよりも差が小さい。
(電動ゴマ擦り機:「セサミ・マスター」など)


2、  PR(パブリシティ)を継続的に行う
新製品の発売時には大々的にPRするが、それが終わるともう販売だけに専念してしまうのが中小企業の一般的なマーケティングである。しかし、発売後もPRのためにマスコミにメッセージを流すことが重要である。ネタがないと思うのは早計である。使っている人たちの話や、より専門家の話など発信し続けるべきなのだ。取り上げてくれるかどうかが目的ではない。この市場に関しては我々に聞いてください、という情報が長期的にマスコミとの間に出来れば、いざというときに取材が入り、市場の代名詞になる近道となるからだ。
(「消費者のゴマ使用状況レポート」、「年鑑版:テーブル用電動機器市場動向」など)


3、  広告は一貫性を持たせる
ロングセラー商品に共通するものとして、広告のメッセージに継続性があるということが上げられる。ただでさえ、広告規模が小さい以上、メッセージを変えていけば、消費者には何も覚えてもらえない。長く辛抱強く、同じメッセージを繰り返す事が重要である。また、新聞や雑誌広告とチラシやSP物のメッセージがバラバラなのも効率が悪い。一つの訴求点を決めたら、全部のメディアで同じことを言うべきである。また、社員もメディアとして総動員すべきである。電話の応対でもブランド名を常に口にすることが、得意先にも自信となって映るのである。
(「セサミ・マスターの安原工業です」など)


4、  全てはリピーターから発想する
発売後、売上が気になるのは当然である。しかし、同時に「誰が買ってくれたのか?」「誰がリピーターになってくれたのか?(耐久消費財であれば、満足度の高い顧客は誰か?)」を知ることが大切である。市場調査といった高度なことをしなくても、愛用カード返送者やクレーム(期待してくれている人たちである)者へのコンタクトを実施して、特にリピーターになっている人々の意見を聞けばよいのである。自分たちの良さを指摘してもらい、常に商品の改良、広告の改良などを行うことで、時代から取り残されないようになる。ロングセラーになる良い循環が成立する。また、リピーターを裏切るようなことをしてはいけない。よって、商品は少しずつ、でも、確実に改良する姿勢がポイントになる。「自分の商品じゃなくなった」と思った瞬間、優良顧客ほど離れていくからだ。商品はリピーターの意見を取り入れながら、少しずつ改善していくことこそ肝要だ。

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