新商品開発のための定性調査:ブーメラン・アプローチ

成熟度の高い市場における商品開発で、ニーズ・ルートからの組み立ては非常に難しいのが一般的である。これは消費者が「まあ、このマーケットの商品はこんなもんだから」という刷り込みが成立しているために、ニーズか顕在化せず潜在化、つまり、埋まったままであることがほとんどだからである。


こういった場合、消費者調査を活用しニーズを発見しての新商品開発は機能しないことになるが、手立てはある。ブーメラン・アプローチはその一つである。これは荒唐無稽すれすれの新商品コンセプトを消費者にぶつけることで、まずは「それはありえないです」という発言を引き出し、その後に「じゃあ、あなただったらどんなのが考えられます」という高刺激による潜在ニーズの引き出し方である。


ここでの留意点は荒唐無稽商品コンセプトの組み立て方にある。「空飛ぶ車はどうですか?」などというSF的な話では何ら建設的な方向に話が収斂しない。重要なのは、既存商品カテゴリーの製品属性の極大化と、刺激後の質問者側のフォローである。


【原理】
・対象者が持つ何らしかの関与度の高い要素に繋げること
・即興性が求められる
・否定的な意見からの意識の深堀りをしていくこと


ブーメラン・アプローチの原理(pdf)


例えば・・・


 ティッシュペーパー(=テーマとなる関与度低い対象商品カテゴリー)
→部屋のインテリア(=対象者の関与度高い生活要素の抽出)
→インテリアとしてのティッシュペーパーの案を即興的に作成する
  (2つを結びつける属性が誇張された商品アイデア)
→対象者にぶつけ、否定的な反応を得る(対象商品カテゴリーの関与度を上げる)
→否定する理由を尋ねる(顕在化されてきた意識を引き出す)
→では、どのようなものであれば接点があるか、を尋ねる(ニーズの一端を探る)


2009.3.4

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