中期マーケティング計画について【その2:フォーメーション】

経営計画の視点とマーケティング計画の視点
マーケティングは経営活動の一部であるが、経営計画となると売上―利益といった単位がベースになる。一方、マーケティング計画は売上・利益を顧客単位で見ていく。なぜなら、マーケティングは顧客とのお金と価値の交換を基盤とした思考だからである。計画にある階層の違いが存在すること、よって、両方の視点の違いを前提としながら計画作業をすることが重要となる。


チャート「計画の単位が異なることの意味」:参照(pdf)


中期マーケティング計画の位置づけ
商品数が少ない会社であれば、中期経営計画と商品別に単年度のマーケティング計画で基本はOKとなる。しかし、商品が多くなり、自社内で市場シェアを取り合ったり、生産設備の利用で重複が起きたりということがあり得る。よって、こういう事態を避けるために市場単位での中期マーケティング計画を策定し、全体最適を図るために策定していく。このように、企業規模が商品数と連動す量になると、必要となる書類も増えていくのである。ここで起こりやすいのが「長期+企業全体の経営視点」と「短期+個別商品のマーケティング視点」のギャップである。


チャート「長期ー中期ー短期」×「経営視点ーマーケティング視点」参照(pdf)


長期・中期・短期それぞれに計画が存在
長期は限りなく不変的なものを想定するので、経営ビジョンとコーポレートブランドがそれぞれに該当する。中期は3年ー5年が一般的で、こちらに中期経営計画と市場別の中期マーケティング計画がそれぞれ入る。ここはカテゴリー・マネージャーが作成すべきものとなる。そして最終的に、年間経営計画と商品別年間マーケティング計画が短期になるのである。チャートでは6つの区分けによって計画の期待役割を表している。


影響関係の共有
一つの商品の年間マーケティング計画にも経営ビジョンが反映されている必要がある。これらがどのような関連になっているかを俯瞰できるようにすることが重要となる。また反対に、活動結果らの事実がフィードバックされない長期計画はますます現実から乖離し、お題目と化すので、自社が描く未来の再解釈を行うのが健全となる。矢印はその順序を示している。


・計画策定時=企業ビジョンという長期的な意志の影響を短期的なマーケティング計画に反映すべき関係になっている
・計画修正時=短期的なマーケティング活動実施による結果が事実となって、長期的な意志にも反映(=個々の商品実績結果は弱い影響力であるが)を及ぼすことになる関係となっている


関連性が明らかになれば、どの計画書から手を付けていくべきか、その計画書が上位概念なのかを全員が特定できるからで、これによってマーケティング業務錯綜による生産性低下、つじつまあわせや再作業の発生などを防ぐのである。


2009.3.25


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