マーケティング会議での五大疾病の症状と治療方法

■マーケティング会議の特質
マーケティング関連の会議は他の会議に比べて多岐に渡る視点を要求されるため、混乱しやすい傾向がある。これは「企業視点=提供者」と「消費者視点=受容者」という交換に関する二つの立場に加え、「記憶に沿った視点=経験」と「直観に沿った視点=意志」という能力に関する二つの角度が存在するからである。


前者の企業―消費者の交換に関しては、マーケティング業務そのものであるためにメンバー間の視点違いをコントロールしやすいが、後者の直観ー経験の幅で起きる視点違いは客観化が難しい。
しかし、混乱のパターンを区分していくと参加者それぞれの視点の偏りが類推できる。


■「冴えない会議」が発症した場合
マーケティング・コンサルタントとして、クライアントでの会議に参画すると以下のような諸症状をもった「冴えない会議」に出くわす。これらは大きく5つのタイプに類型化できる。ある意味、病と同様なので五大疾病として示してみる。


【冴えないマーケティング会議の症状を示す五大疾病】


1)ビジョン不足の会議
会議で意志決定者が決めない。複数の戦略のリスクに責任を取れない


2)アイデア不足の会議
会議が全体に盛り上がらない。魅力のある案がないため、誰もがしかたなく選ぶ


3)論理不足の会議
会議での話しがあちこちに行く。項目の優先順位がつかない


4)分析不足の会議
会議が極端に楽観論、悲観論に振れる。良い話と悪い話の区分けが具体的でない


5)事実不足の会議
会議が観念論や精神論に終始する。世間や現場からの具体性のある情報がない


チャート一枚目参照(pdf)


これらの症状はいずれも要素不足からくるものである。よって、意図的に不足している栄養素を補充するようにすることが解消のポイントとなる。もちろん、複数の要素不足が絡んだ合併症のようなものも存在するが、これも原則は同じである。あまりにも極端な要素欠如は準備不足の何物でもないので、次回までの活動内容を決め、会議自体を延期させることが賢明と言える。


■五大要素をポータブルにする知識整理
また、完璧に5要素が揃う会議も通常はない。だからこそ、その不足している部分を補うための知恵をメンバーが創出することを会議で意識する議題として追加し、会議の進行をスムーズにさせることが望ましいのである。


可能であればメンバー全員がその難点に気が付ける方が良い。しかし、自己の主張にとらわれていると会議全体の問題ではなく、他の出席者の問題であるとすり替えられやすく、場合によっては、感情的な不具合も発生しやすくなる。病気としての自覚症状がないときの治療方法が難しいのと同等である。


このような時、インテグラル思想の「ソウル(魂)ーマインド(心)ーボディ(体)」を借景としてプロットすると5大要素は「意志―思考―経験」の順に一列に並べることができるので、会議中に今の事態と改善の方向を共有するときに分かりやすく説明し易い。


チャート二枚目参照(pdf)


2009.5.28

ページのTOPへ戻る