リフレーミングの原理と限界

■リフレーミングの原理
リフレーミングはその名の通り、「再フレームを作る」ことであり、マーケティング基本戦略の一つであるセグメンテーションをコミュニケーションの段階まで持ってくるケースで多く使われる。
特に、新商品市場導入戦略において、リフレーミングが有効になることが多い。
さて、この新商品の市場導入戦略時のリフレーミングは以下のような原理で遂行される。


【リフレーミング原理】チャート参照


①初期の状態
あるセグメントにおいて、ブランドAとブランドBが存在する場合を考える。当然、このセグメントのシェアはAとBで分け合っている状態である。


②通常の発売後の状態
ここに新規参入する場合、ブランドXは第三ブランドとしてセグメント内で戦うことになる。消費者にとって「また、新しいブランドがでたのね」という意味になる。また、間接販売をしている場合は、流通側からも同様の扱いとなる。


③リフレーミングされた状態
第三ブランドから立ち上がるほどの体力(経営資源、マーケティング投資)がなく、かつ、第三ブランドらしくニッチな商品特性を持っている場合には、既存セグメンテーションを否定しながら新規参入することが有効になる。
このとき、競争フィールドは商品ブランドではなく、「新たなセグメント名」VS「対峙するセグメント名」という構造にすることを目的とする。


④リフレーミングの要諦
この手法を使うポイントは・・・
1)新しいセグメント名を創り、これをニュースとする (商品ブランドより優先順位高く)
2)既存の競合ブランド群を対峙するセグメントとして括る (二項対峙が明確なネーミングが理想)


【活用事例】輸入基礎化粧品ブランドXの場合
ブランドXはすべて天然成分で出来ているため賞味期限が短いという欠点を持っていたが、こここそが独自性と考え、敢えて意味を持たせるリフレーミングを実施した。
同時に、当時(2003年ごろ)の新たな潮流であったスローフードの文脈を活用し、ニュース性も取り込んだ。


・ブランドX→新セグメント名:スロー・スキン・ケア
・資生堂、カネボウなど大手商品ブランド→対峙セグメント名:ファースト・スキン・ケア


このような二項対峙のセグメント名を創出し、ブランドXの扱い順位を一気に資生堂、カネボウ等と同等にするのである。ここではPR活動を商品ブランドではなく、新セグメント(+対峙セグメント)のニュース性に重点を置いたのだが、その結果として、マーケティング経費がほぼゼロにもかかわらず大手有名百貨店の扱いが決まり、そのシャワー効果で新たな販売先が確保されていった。
(※)上記内容は、ブランドxの導入担当者より許可を得て、部分的に掲載


このときのポイントは自社ブランドのセグメント名ではなく、競合他社ブランドを対峙するセグメントとして括るネーミングを開発することにあった。また、「既存セグメントより新セグメントが優良な感じ」のニュース性を付加できると市場導入時の加速度はアップする。


■カテゴリー・エラー発生のメカニズム=リフレーミングの限界
ただし、リフレーミングには限界も存在する。
最近は、多くのカテゴリーでこの手法を見かけるが失敗するケースも散見される。商品そのものに独自性がない(弱い)時にリフレーミングは自爆行為となる。なぜなら、消費者は全く新しい商品として購入しようとして使用時に大きく裏切られるからである。


特に、別のカテゴリーを連想させながら、実は違っていたというようなケースでは消費者に不信を与えるだけとなる。(カクテル・カテゴリーを連想させながら実は発泡酒のカテゴリー圏内の商品、など)
こういったカテゴリー・エラーを導かないためにも、リフレーミングはあくまでも商品の基本価値が持つ独自性に準拠すべきという謙虚さが求められるのである。


2008.1.25

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