B2Bフリーランスが単価を上げるためのポイント

周囲にもフリーランスの方々が増えつつあり、かつ、希望者と称される人たちともお会いする機会も多くなりました。そんな人たちに参考になりそうで、もしかするとまったく役に立たない話を書きます(笑)。あくまでも弊社の経験に基づいた知恵でしかありませんからね。


■B2Bフリーランスが単価を上げるためのポイント


・競合となりそうな大手企業と同じ土俵ではなく、こちらの土俵に大手企業に立ってもらうこと。


これは一人であることが重要な仕事を核に据えることを意味します。自分の場合は、クライアント社内で実施するマーケティング研修の講師が最初の核に該当します。有名コンサルティング・ファームはもちろん、電通や博報堂にもマーケティング研修を頼むことができますし、品質の高い内容も期待できます。しかし、顧客企業がまず気にする最も重要な問題なのが「誰が教えてくれるのか?」です。


有名企業であれば誰でもいいです、ということは有り得ず、具体的にその人が相応しい講師かどうかであり、フリーランスは自動的に「私、安原」を指名することになるのでクオリティがはっきりします。その品質が良いかどうかは別にして、誰がという質問に対しては大企業も個人事業主も対等なのです。講師料を考えるとむしろ安い可能性があります。まあ、大手広告代理店では無料もあり得ますが、これは普段の広告出稿費用に含まれているだけの話です。


・積極的に高い単価のサービスと比較してもらうこと


大きなコンサルティング・ファームを使うとそのメンバーの人数が多く、かつ、バックステージの費用もチャージされるので非常に高い値段になります。ヤスハラ・マーケティング・オフィスは中小企業診断士の標準単価に比較するとほぼ倍の値段なので「高い!」ということになりますが、コンサルティング・ファームと比較すれば実際に三分の一から五分の一になります。これは顧客企業が大手であることに限定されません。


例えば、新規出店のコンサル、ネット通販参入のコンサルだとしても、単純にコンサルティング費用を提示するのではなく、「ハードとソフトでソフトの部分がコンサルティングで、全体費用の8:2は最低キープしたほうがいい」という説明になれば、比較対象は人件費としての単価ではなく、プロジェクト費用に対する比率ということになります。また、小さな会社でありながら経営企画室を設けると最低でも1人雇用し、通年・・・・円かかるところが・・・・円で済む、という見立てもできるのです。


・支払能力の高い勘定項目でメニューを組むこと


ヤスハラ・マーケティング・オフィスは大きな企業の小さなプロジェクト(または商品ブランド)へのマーケティング・コンサルティングやファシリテーションを行っています。大きな企業の大きなプロジェクトは予算も人数規模も大きいので大手のコンサル・ファームや大手の広告代理店が対応します。弊社の競争すべき領域ではありません。しかし、大きな企業には小さな案件が多数あります。億単位の大きな予算はなくても、千万~数百万単位のプロジェクト予算は持っているのです。そこでの10~20%程度をコンサルタントに支払うのは能力的に問題はありません。


それ以上に、そもそも小さいので絶対人数が少ないので外部の支援は必須なことが多いのです。たまに、中小企業の絶対数が多いのでそこを対象にしたコンサルティングがもっとも効率が良いという話を聞きますが、これは単価の話ではなく、顧客コミュニティというプラットフォームを組織して、そこからの薄利多売による高収益でのフリーランスを意味しています。もちろん、どちらが良いとかではありません。「単価×顧客数」のどちらに重心を置くか明確にすることがフリーランスの戦略の一歩である、ということなのです。


需給バランスを値上げで吸収すること、決して値下げで吸収してはいけない


業務を続けていくと需給バランスが崩れて多忙になる場面があります。これが複数回起きるようであれば単価の値上げをすべきです。もちろん、既存顧客の単価は据え置きです。昔からの顧客を大切にしながらも、新規のご依頼に関しては高くなった単価を提示していくことで、収益を上げていきます。また、価格が高いがゆえに新規の申し出が減るかもしれませんが、それは望ましい姿と判断すべきです。ちなみに、ヤスハラ・マーケティング・オフィスは過去2回の単価アップをさせていただきました。


まあ、そうなると顧客数も限られてくるわけですけどね。稼働率が落ちても収入が一定であれば、自由時間が増えている望ましい状態になることを目指したらいかがでしょうか、とうことなのです。一方で、稼働率が落ちた時に単価を落としてみようとする人もいるようですが、いったん下落したものを上げるの至難の業です。基本的に稼働率が上がらないのは価値が低いか、価値が正当に伝わってないはずですから値札の問題ではないのです。単価を下げて仕事に忙殺されるフリーランスになるくらいなら廃業・転業したほうが良いかもしれません。


・回数ごとの請求とし、年間契約をしないこと

これは個人の価値観にもよるかもしれませんけど、フリーランスでの仕事を年間契約等のバルク型にしないことをお勧めします。マーケティング・コンサルタントですと場合によっては月・・・・円で年間契約という話もでてきます。契約ですからね、1年分の収入が保証されるので魅力的に見えますが、お断りしています。打ち合わせ回数を基本とした都度のご請求ベースを理想としています。


このやり方は、クライアントが他の業務にかかりっきりになったりすると打ち合わせがスキップし、収入に至らないことも多々ありますので不安定のようにも見えます。でも、顧客側から見れば無駄な費用が発生しない、使いたいときに使いたいだけ使えるお得なコンサルタントにも見えるのです。そして、年間契約は連続して契約するのが普通なので、いったん終了するとそのバルクでの単価が高いせいもあって復活することが稀なのです。


それよりも、回数券のように必要に応じて声がかかる方が、一回当たり単価が安く感じることもあって、その敷居の低さから次の仕事が発注される確率が高くなります。長いお付き合いに至るケースが多いので、結果的に収入が安定します。


最後に・・・
単価の話を偉そうに述べてましたが、まずはクライアント・ファーストがあっての話です。そして、「顧客第一とは?」を自ら定義し、それを極めることこそすべてに先立つと信じています。


2013.5.31

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