ファシリテーション講座「大きな単語が登場した話」の扱い

ビジネス・ファシリテーションの現場で特に留意してるのが、大きな単語が場に出された時の対処の方法です。大きな単語とは、「日本人」「海外」「我が社」「うちお客さん」といった抽象度の高い量感を伝える単語たちです。


グループワークでこういった単語が含まれた話が出てきたとき、内容によって主な対処方法にはこんなものがあります。


1)大きな単語に「ひび(クラック)」を入れておく
たとえば、「日本人は・・・・だから」といった発言が出てきた場面で、そのままにしておくと前提条件になりかねないので、間髪をいれずに「自分の知人では、日本人なのに・・・とは全く反対の人がいますけどね」といった軽いネタを披露しておきます。この大きな単語はビジネスには不完全なものじゃないでしょうか?、というニュアンスを残しておくのです。


2)大きな単語に「変化の存在」を付け加えておく
たとえば、「所得の二極分化が・・・を引き起こしている」という表現があった時、現時点では正しいことを未来に向かっても継続させてしまう恐れが出てきます。「二極分化は最終的にどういう分布図になっていくんでしょうね?」といった謎をその場で言い添えることで、大きな単語群が視界を遮ってしまい、ここで思考停止に陥ってしますリスクを減らしておきます。


3)大きな単語に「挑戦状」を貼っておく
たとえば、「この業界は・・・なのが特殊だから」というのが出てきたケース。ファシリテーターと参加メンバーの間に大きな単語で境界線を引くような意味を持ちます。もちろん意図的とは限りませんが。そんな時は「そういった業界の特殊な部分をひっくり返すような形で新規参入が起きると、・・・業界(他の業界事例)みたいなことになったりしますよね」、ちょっと挑戦的な態度でこの大きな単語がアンタッチャブルではないことを言外に伝えます。


消防の原則と同じで、火元に早く水をかけておくことが延焼を最小にします。即興的に反応することが重要なのです。


2017.3.10
(~2016.3 近況報告より加筆修正)

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