マーケティング業務における「ビジョンーミッション」の扱い方

・背景:
経営、ブランド、個人、どのレベルであっても意志は不可欠である。分析が現在から未来を予想するものとすれば、意志が未来から現在を捉えるものである。
組織内で意志を固定化するのは難しく、やはり、明文化する必要がある。文字に置き換えることでやっと共有化が可能となり、目指すプランが組織の意思に沿ったものかといった抽象度の高い討議の土台になってくれる。


・混乱がおき易いビジネス用語としてのビジョン、ミッション
こういった未来をビジョンーミッションという用語を駆使しながら文字化していくのだが、ビジョン、ミッションそのものの有り様が抽象的なために、この言葉の段階で討議が必要になることがしばしば発生する。特に混乱がおき易い理由は、規模ごとのビジョン、ミッションが存在することに対して、一つの視点で括ろうとすることにある。


・マーケティング業務で活用するための用語定義
まず、ビジョンには世界観とゴール像の両方を持つ。これは1つのミッションを挟むような関係となっている。これを企業単位―事業部単位―部署単位でチャートにしたものが【図表 マクロ・ビジョンとミクロ・ビジョンの関係】である。


【図表 マクロ・ビジョンとミクロ・ビジョンの関係】


「あるミッションX」が存在するのは「ある組織」の譲れない意志を示す。しかし、その前には世界観が必須である。
「今はないが、来るべき理想の世界があるとすれば、そこで自分たちの組織はこのような役割貢献をする」という関係になる。引き続き、「自分たちの組織はこのような役割貢献をすれば、このような理想的な像に周囲はなる」といった自分たちの動きに応じた結果がゴール・イメージとして描かれる。


マクロ・ビジョン(世界観)=今はないが、来るべき理想の世界
         ↓
ミッション=自分たちの組織はこのような役割貢献をする
         ↓
ミクロ・ビジョン(ゴール)=このような理想的な像に周囲はなる


まずは、この3層が基本単位となる。


・重なりの関係
実務上、障害になるのがビジョンの二面性である。これを上部組織にとってのミクロ・ビジョンが下部組織とってのマクロ・ビジョンという形式で区分けすることで混乱を極小化できる。


さて、ポイントはある組織単位において、上位に位置する自己を含む大きな未来像(=世界観、企業観、事業観など)がなければ自らの組織のミッション(=役割貢献)が規定できないこと。そして、その組織がゴールとするものが枝分かれする下部組織の新たな外の世界の未来像となることにある。


・マーケティング業務での使いどころ
中期マーケティング計画など策定時には、将来像から逆算する必要がある。このとき、ブランド・マネージャーや商品担当者は常に自社のビジョンとリンクを貼った計画にしなければいけない。
なぜなら、計画承認時に経営から問われる重要な要素となるからである。このとき、どの単位のビジョンとミッションかを整理出来ていると二段・三段の距離がある(会社単位と1商品単位の関係)場面でも仕事が早くなる。


2007.11.25

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