■マーケティング・プロジェクトの意味と役割
マーケティング部門で働く人が組織を動かす場面では、プロジェクト型の運営になることはしばしばあります。
大型の商品開発、大型の既存商品見直し、スタート時から関連すると予想される部門のキーメンバーを招集する必要があり、マーケティング・プロジェクトのリーダーとなった人はこのプロジェクトの主体的な運営をすることになります。
マーケティング業務の特徴は・・・
①部門間をまたぐ業務である
②一つのテーマにそれぞれの専門性を当てはめていく必要がある というところにあります。
従来のマーケティング活動はバケツ・リレー型と呼ばれる部門ごとが順番に仕事をしながら進めていくパターンがほとんどでした。
例えば・・・
研究部門(コンセプト案)→生産工場(試作品)→マーケティング部門(シンボル開発)→営業部門(販売計画)→広告部門(プロモーション計画)→市場導入
というバトンが渡されながら次に進み、バトンが来るまでは感知しない(できない)というスタイルです。
■ネットワーク型マーケティング・プロジェクトの形式
既にマーケティング活動は全部門の串刺しを前提に、顧客視点でどういうブランドになっていくかを逆算しながらの商品企画が要求されるようになりました。このときに必要なのは6つの専門性です。
→下記チャート参照
マーケティング・プロジェクトの責任者がすべての専門領域をカバーできることは稀です。よって、それぞれの専門家を早期に巻き込んでいきます。これによって、バトンを渡してからのNGでの遅延を防ぎ、かつ、新しい商品としての切り口を多様にします。また、市場導入前に関連部門と企画が共有できているために実施までの動きもスムースになっていきます。
■6つの専門性
領域領域=現業の次元、情報の次元、企画の次元の3
ステージ=バック・ステージとフロントステージの2
合計2×3=6を意味します。
バックステージ3つの専門性はちょうどコンセプト作成のための構成要素である「ニーズ・シーズ・アイデア」の出処と位置しており、プロジェクト推進でも先行するものになります。
しかし、商品化で総力戦を目指すのであれば、開発段階から市場での展開を組み込んで置く必要があります。それがフロント・ステージの3っつになります。これも4Pで言うなら「プライス、プレイス、プロモーション」というプロダクト以外の要素の主管です。
■常に6メンバーを揃える
ネットワーク型マーケティング・プロジェクトはこの6つの専門性に対し、サポートできるであろう6人のメンバー(最低人数として)を揃えることで新商品(サービス財を含む)開発などを推進させていこうというものです。
余談ですが、ブランド・マネージャーに新たになった人などにはこの6つの方向で自分ではカバーできない専門性を持った人と仲良くし、助けてもらえる関係を築くよう推奨しています。
2010.8.10