B2B企業の3つのマーケティング・スタイルと適用領域

■中間財・生産財企業のマーケティング・スタイル
一般に中間財や生産財企業はB2Bという符丁でくくられ、そのマーケティング・スタイルにはプッシュ型―プル型が一般的である。


プッシュ型は想定顧客企業への販売活動を計画・実施するもので、基本的なマーケティング形態と言える。見込顧客企業を発見し、営業がアプローチしていくのである。


プル型は想定顧客企業の先の顧客からの反応を引き出すことで、相手先からの指名を得るマーケティング活動をするものであり、ある意味、消費財的なマーケティングの応用形と言えるだろう。(インテルのプロモーションなどが有名)


■パル型のマーケティング
市場の成熟化は、需要側である相手企業のニーズ細分化を生むことになる。顧客の細分化が進むために、プッシュ型での販売効率が低下してしまうのである。また、昨今のITによるメディア拡散は、プル型によるエンドユーザーへの情報提供のメディア効率が下がり、販促効率が低下する傾向を意味する。


3つの形態 (pdf)


よって、三番目のパル型のマーケティングへの移行が進むのである。パル型は顧客企業とのタッグ(つまり仲間であるパル)である。これによって、そのまた先のユーザーを想定したマーケティング活動を展開できることになる。自動的に、自社の高度な付加価値の高い技術やサービスで先方の細分化されたニーズに深く応えることもできる。


・電子部品メーカーが顧客企業と新たな部品を組み込んだ最終製品を開発する
・人材コンサルティング会社が顧客企業と新たな社員評価の仕組みをパッケージ化する


また、パル型は反対から見ても同様のメリットがある。企業が川上の協力会社とコラボすることは、まさにこのパル型マーケティングの一面と言える。ただし、仲間とは対等であり、それではなければ単なる下請けであり、パル・マーケティングとは呼べない。(一部の流通が開発するPBなど)


■3つのB2Bマーケティングの適用範囲
時系列に見ると、プッシュ→プル→パルと変遷していくのだが、これをターゲティングの視点から見直すことで、それぞれの機能が引き出せる。なぜなら、パル型と言っても仲間の範囲は限られているし、また、B2Bのビジネスの終結は何らかの人的なプッシュを伴うからである。(顧客企業が勝手に契約書まで作ってくれない)


また、これらは、対象となる顧客業界の区分けとほぼ一致して機能する。


・パル型マーケティング=業界のトップ企業、他者がベンチマークする優良企業
・プル型マーケティング=パル型の成果をPRしていくことでの関心喚起をしていく中核企業群
・プッシュ型マーケティング=パル→プルが完了した時点で、営業効率が最大化されているため、プッシ型でも販売活動がしやすいその他の企業群


3つの適用範囲 (pdf)


こういった区分と、マーケティング・スタイルの割り当てによって、より効率の高いB2Bビジネスの展開ができるのである。


2009.9.22

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