★20周年記念:長生きフリーランスの備忘録★

2020年でヤスハラはフリーランス20年となります。皆様、ありがとうございます。全ては、多くの方々との関係が導いてくれたものです。深い感謝とともに、御礼申し上げます。


20年かあ、長い・・・、長いよね。なんだか、もうこれは天職なのかって思ったりもしますが、よく分かりません。もろん、これからどこまで続くのかも不明です。自分にとって大切にしたい何か、この感慨と感謝のようなものを残そうと綴らせてもらいました。


<その1>「意識的にしておかないとヤバい態度、ビッグ3」


・年功序列→年功並列
相手の年齢で態度を変えないようにする。もし、相手が年齢でこちらへの態度を変えるようであったら修正をお願いします。年齢に対してフラットであることが、長く仕事をしても相手との関係が良好であるための大前提だと思っております。


ですから、「先生と呼ばないで!」というお願いは自らの長生きのためのものなのです。謙虚さの証じゃなくてごめんね。20年前の人が社長になってたりするし・・・、長いお付き合いって大事。


・男尊女卑→全尊無卑
現在、弊社のクライアントの50%では、キーマンは女性です(キーウーマンですな)。そもそも、フリーランスは個人ですから、どんなに大きな企業に属していたとしても相手を個人として向き合うのが基本です。その個人がですよ。規模のヒエラルキーを脱してフリーランスを謳歌できているのなら、男女で態度を区分けするのはいかがなものか?、と思っています。


性別での上下も、年齢での上下もないのです。特に、初対面の女性の場合、過去の人生経緯からか(苦笑)、「ヤスハラさんも男尊女卑的なところはないかしら?」といった疑心暗鬼の目線で眺めている可能性もあります。人種的に昭和の分類だし。歳をとるほど、意識的に「全尊無卑です」という言動をとることにしております。


・終身雇用→終身洋々
さて一転して、内面の話。フリーランスは雇用に関しては、仕事が始まれば就業で、仕事が終われば失業なのです。案件ごとに、雇用と失業が繰り返されるのです。ただそれが、複数あるので失業中っていう感じがなかったりするだけです。また、次の仕事がすぐに発生すれば、職を失ったとは言われません。


たまに心の中で、ふと翳りを感じる時があったりします。「この先、大丈夫かな?」ってね。で、この不連続な雇用関係に揺らがないことが大切なのです。終身雇用と比較して嘆いてはいけません。フリーであることは終身フリーという想定が入っています。欲しかったのは今、この時の自分だったはずです。折々に、終身洋々であることに感謝しましょう。


<その2>「長生きフリーランスのためのマイルストーン」


あまり語られない方面から長生き条件を探ってみました。運も必要だけど、意識的にアンテナを張っておくといいね、っていう話です。


・ビッグ・クライアント


B2Bでのフリーランスでは、通常クライアントは複数います。もし一つだけなら、これはフリーランスではなく外部社員契約です。会社員もクライアントは一社だけ。複数いるのはフリーランスと呼べる最低条件です。となると、副業解禁は一種のフリーランスか?


では本題へ。弊社であれば2000−2014フル回転期では、コンサル稼働はだいたい常時7−10社くらいでした。2015-2019はミニマム期。東京から長野・松本に移住して子育て中心生活、ここでの平均は2−3社。そして、2020の現在ですが、中庸期と呼ぼう!、かな?  今は5−6社ぐらい。でも、いくつクライアントがいるかはあまり大切な指標ではありません。ビッグ・クライアントの存在が重要です。


ビッグ・クライアントには2種類あります。


まずは、全社浸透度合いがビッグ。常時案件が発生する中心的なクライアント。お付き合いが徐々に拡大し、案件が部門をまたぎはじめて顔見知りも増えていく、すると、「もう、何かあったら、ヤスハラさんにお願いします」が出来上がってきます。こちらも「次は、あの課題がプロジェクト対象ですね」なんて、会社全体の戦略から個別案件の輪郭まで分かっている状態です。一から自社の内情やら背景を説明して新たなコンサルを雇うのは時間とお金の無駄だと思ってくれている状態です。


さて、もう一つは、知の流入量がビッグなクライアント。全く新しい市場で起業する、全く新しい商品で新市場を創る、といった誰も事例を知らない案件から始まるお付き合いです。こちらも未知な分、全てが学びです。他の誰も知らない最前線に身を置きながら、お金をいただけるのです。コンサルタント能力を磨いてくれるポップアップな研究所のような存在です。ビジネスが回りだすと、その市場のリーダーですから、先手先手でマーケティングの実験ができます。他社で活用できるノウハウが自動的に増えるわけです。


この2種類のクライアントが出てくると、間違いなくフリーランスとして長続きできます。それほど燃料がなくても高く空を飛び続けることができる状況です。高機能な左右両翼のエンジンみたいなものか? よって、こういったクライアントになりそうかどうか嗅覚が問われます。もちろん出会い運も必要でしょうけど。確率をあげることはできます。


・有能な外部スタッフ


これはフリーランスの業務効率をどうあげるかの話になります。同業の方なら頷かれるでしょうけど、フリーランスの業務効率って、生活の効率と同義です。仕事で外部スタッフを誰にするかを選ぶのは、気の利いたベビーシッターや有能な歯科医に出会えることが、どれほど子育てや健康を充実させてくれるか、と同じ設問なのです。


 弊社、まあ、ヤスハラ個人の話にしますと、税務処理とIT環境は特定の方々にアドバイスをお願いしています。特に税理士さんは独立してからすぐに探しました。だって、自分では無理。最初は規模のある事務所にお願いしましたが、残念ながら仕事が機械的すぎて、効率は上がっても最低限の税務だけ。


経理視点、財務視点での的確な、先手を打つようなアドバイスはありません。いつも、こちらから問い合わせをせねばならない状態でしたから、コンサルタント業務に専念できなかったりして。で、探しまくって今の方になっているわけですが、めちゃ助かってます。


IT系ではそんなすごい専門家より、IT弱者のフリーランス(オイラのことね)の目線に沿って助けてくれる人が大切です。フリーランスの仕事が分かるフリーランスが外部協力者として理想ですかね。HPを筆頭に、ドメインやらサーバーなどの管理。そして、Webでのトラブルだけでなく、次に買うべきPCや、迷っているビジネス系ソフトなどへの的確で素早い対処・判断は、これまた自分では無理。


「ああー、ヤスハラさんは、きっとこんなトラブルですね」という、何が問題か本人はまったく分かってない段階で、すでに目配せできているのも有難いです。もう、IT弱者はこの手のトラブルですぐに小パニックになってしまうので、ストレスが生活に影響しないようにしてくれるなら、もうそれだけで神です!。


ということで、フリーランスは己の生活を充実させ、時間効率とストレスフリーを高めるために外部スタッフを探し続けましょう。もし良質な人と出会えたら、これも長生きできる間接的な資源となるのです。


<その3>「フリーランスの真の報酬について」


フリーランスで長生きしていると、よく聞かれる質問に、「どのくらい稼いでる?」「どうやって儲けてるの?」といった質問があります。お金周辺の話ですね。確かに、これも大切。


しかし、お金が沢山欲しいのであれば、転職しながら経営層のポジションに近づく、起業しながら大化けする機会を作る、といった方が、フリーランスになるよりは間違いなく確率は高めです。フリーランスは大金持ちとはかなり距離があります。 じゃあ、やはりフリーランスの魅力とは、お金じゃなくて時間ですね、自由ですね?、っていう話になるけど、実はその前に、フリーランスにはもう一つ「お金でもらうお金じゃない報酬」があるのです。


あなたは今までに、自分が深く関わった商品で、人からお金をもらったことがありますか? 凄い話じゃなくてもいいんです。そうですね、子供の頃に母親の作ったお菓子をフリマで売るとか、学園祭の出店で自分の作った手作りアクセサリーを売るとかです。そんな、ささいな経験のことです。その時、誰かがあなたの商品を買う、そして、お金をもらう。


百円か千円かは関係なく、商売が成立して、人様のお金と自分の関わった商品が交換されると、メチャクチャ嬉しくないですか?。 わーい、売れたってなりませんでしたか? 、グイッとガッツポーズを決めませんでしたか?、何でしょうかね、この湧き上がってくるエネルギーって。


フリーランスの提供する商品(ヤスハラならコンサルティングであり、研修講師など無形なもの)も、自分が100%関わったものです。それが相手からお金と交換してもらえる場面に立ち会うわけです。それも生にね。ここに、あの「わーい」感が発生して、自分の中にどこからかエネルギーが流入するんです。


え?、しない?、フリーランスなのに?・・・。フリーランス辞めた方がいいかも、遅かれ早かれ辛くなるからね。逆に、この交換でもらうエネルギーに浸れるような仕事ぶりであれば大丈夫。日々なぜか楽しいし、明日も続けようかなってぼんやり思うからさ。そう、交換には値札以上の報酬があるのです。


大金稼いで、資産運用で回していくことでは得られないもの、大きな会社の経営層になって組織を動かして売り上げをあげていくことでは見えないものがある。


どうも、これがフリーランスの真の報酬ではないかと思うのです。


2020.10.9 近況報告からの加筆修正

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