遠隔地からのコンサルティングについて、2015年実践からの所感
今年2015年1月より長野の松本に移住し、ほぼ1年(2015年12月に記述してます)経ちました。一つの仕事の形式として、「ネットを主体としたコンサルティングをしよう!」と考えてましたが、あくまでも「できたら素晴らしいな」といった見切り発車でした。
ここ1年で、ネット主体のコンサルティング(遠隔地でありながらのコンサルティング業務)をプロジェクトベースで2件行いました。どちらも3ヶ月の期間中にクライアントが選抜したプロジェクトメンバーとともに設定したゴールを目指すものです。
クライアントの所在地はそれぞれ沖縄(今年の前半に実施)、仙台(同、後半に実施)という非東京でしたから、ある意味、通えない前提は理想の環境とも言えます。業種は情報サービス系と飲食サービス系、ビットとアトムと好対照ですね。
まず、概要を示しますと・・・
⚫️期間と頻度:
3ヶ月に6−7回のミーティングで成果物に行き着くようにする。一回のミーティングは2−3時間
⚫️テーマ:
現行サービスブランドの強化計画、新規ブランドの市場導入計画。どちらも社内の通常業務にはないもの
⚫️メンバー:
プロジェクト・リーダーを含め、1グループ5名前後。経営者など(クライアント・リーダー)は入らないで、オブザーバーとなる
・・・ここまでは従来の東京と同じ。以下は大きく異なるところ
⚫️進行上の特徴:
・東京のスタイルは毎回現場でのヤスハラによるファシリテーション。必ず、各段階での課題を拡散・収束させ、まとめていく。
・松本のスタイルは、初回のみ現地で顔合わせと全体スケジュールのすり合わせを行う。それ以外はスカイプを利用してグループワークで段階を重ね、制作物にまとめる
※ただし、仙台の案件は内容の複雑さもあり、後半に現地ミーティングをもう一回実施
⚫️個別ミーティングの意味合い
・東京のスタイルは、6回ごとサブテーマを持って各回はメンバーで結論まで行き着くためのミーティング
・松本のスタイルは、サブテーマはもっているがあくまでも練習としてのグループワーク。ヤスハラがファシリテーションするのも「提供したフレームワークをこんな感じでファシリテーションするといいですよ」という体感してもらうだけ。その後、メンバーだけで本番のグループワークを行い、そこでの成果はリーダーとやりとりして確認する。
⚫️ミーティング以外での活動
・東京のスタイルは、事前にフレームワークに沿ったタイムテーブルを用意すること。各回に成果を書類にまとめメンバーに配布すること。
・松本のスタイルは、個々のメンバーと電話でやりとりをし、内容への納得感や期待、進行へのリクエストなどをヒアリングする。リーダーとはミーティング前に模擬内容を確認する
こういった形式で進行させました。実は、昨今の学校教育も反転授業だったり、アクティブ・ラーニングといった主体性を受け手である生徒側に置くのが潮流です。遠隔地だからやむなしという手法が、結果的にそういった流れに沿っています。
さて、肝心の成果物のクオリティですが、これがかなり良いものになっています。その意味は①主務者が明確にクライアント側なので自分たちの言葉で作られていく、②模擬と本番の2回フレームワークを使いアプローチするので、精度が上がる、③電話でのメンバー全員とのやりとりによって、感情的な違和感が明らかになり、取り込めている
こうやってみると、個別の電話面談が大きく機能していることを痛感します。③ですね。「スカイプを補完するために、しかたなくやってみるかな」ぐらいの気持ちで行ったのに・・・。東京時代は会っているからこそできている部分と思っていましたが、1対1の話は意外と手薄だったのではと反省しています。この辺りの手間を惜しんではいけないのです。
ネット上でのツール類が充実すればするほど、電話での対話なんて古臭く見えそうですけどね。実態は、情報を共有する領域が広がれば広がるほど、サシで話す重要性が増すというものでした。ちょうど縦横の関係です。よって、この電話面談は付帯サービスではなく、主要業務としてプロジェクトに組み込むことが大切なのです。温故知新でもじらせていただくと、混故組新(「こんこそしん」ふるきをまぜ、あたらしきをくむ)ですかね
有難いことに、遅ればせながら身体で覚えることができました。ご同業の方々のご参考になれば幸いです。
2015.12.15