B2B企業におけるブランド構築 【技術中心企業の場合】

B2B企業、つまり、中間財や生産財などはブランドという概念から程遠いと思われている。消耗消費財と異なりエンドユーザーからの選択が弱いので俗に言うシンボルなどを策定しても意味がないという観点からである。はたして、そうだろうか?


ここではB2Bでの一つの主要な形態である技術中心の企業をブランドの可能性という視点から考えてみることにする。金型製造企業や精密部品企業などが該当する。
通常、技術中心の会社は技術の深堀りによってその専門性を究めている。また、日々の商品開発ではその一部が活用されていくことで、収益を上げ、その一部が研究開発での高度な技術探求に返ってくるという循環である。


チャート1参照


そういった専門性は学会や専門誌に発表されることで権威となるが、専門性が高ければ高いほど理解できる人数は限られてくる。顧客サイドから見てみると、B2Bである以上は商品に対しての態度が社内のポジションによって異なる。


・顧客企業の意志決定者: 社長、または、部品購入に関する担当取締役など
・顧客企業の購入者: 購買部部門長、または、経理担当部門長など
・顧客企業の利用者: 工場長、または、製品担当者など


最終の購入決定までに複数の人物が登場するB2Bの特徴において、ユニークな現象は「より専門性が高い付加価値が高いであろう技術ほど、理解できる人はより少なくなっていく」ということである。


チャート2参照


これが意味することは、高度=高付加価値=高価格に対して、理解している人が(ここでは顧客企業の利用者)社内の他のキーメンバー(ここでは顧客企業の意思決定者、購入者)を納得させてもらえるかどうかにかかっているということである。


もちろん、技術が決定的な差別化できたベネフィットを示すことができれば充分だが、そうでなければ「理解ギャップを埋めるために説明時間がかかる」、「理不尽な価格交渉に巻き込まれる」といったマイナス面を引き起こしやすい。


そういったとき、もっと専門性を親しみ易く分からせる仕組みがあると専門知識がない顧客企業のキーメンバーへ効果的となる。その一つの方法として「Branding Technology」というブランドを意識したPR目的の商品開発に取り組むことが有効な場合がある。
つまり、技術をABCに区分けすること(アカデミック・ブランディング・コマーシャル)でB2B企業の存在感を高めようというものである。


チャート3参照


例えば、本田技研のアシモ株式会社入曽精密のサイコロなど、ビジネス採算性は怪しくても一般的な人々が「あそこの技術は凄いらしい」とは受け取ってくれるものである。
これらを事業として区分するのではなく、ブランディングのためのプロモーションとして捉えると有効性は高まる。難しい専門性を分かり易く伝達することこそ、技術理解ギャップを埋めてくれる補助をして、B2Bのビジネス効率に貢献してくれるポイントなのである。


また、この効果は顧客企業だけでなく、リクルーティングにおいても自社に振り向いてもらえる確率を上げることができる。


2007.11.05

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