ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

12月12日

単発ながら大型の業務が完了し、ほぼ、理想の普段に戻りつつあります。
午前中を内勤に充てて、深く考え抜いてはメモにし、じっくり組み立ててはチャートに置き換える作業をしています。これこそが、この生業(なりわい)の四隅だと思っているからです。


そういったメモも一年間でノート数冊分にもなり、そこからもっと手を入れるべき知識やアイデアをすくい取るための全社合同の研修ツアーも間近です。いつもながら独りで温泉に行って、ペラペラと付箋を付けては酒肴、PCに打ち込んでは湯船といった向学と怠惰を浴衣で包むだけの話ですけど(笑)。


■情報圧縮の話


ちょっと前までは、情報量は貴重でした。情報は少ないより、多いほうが良いとされ、情報収集能力は仕事だけでなく、生きる上でも大切なスキルでした。


昔、知っている人と知らない人での有利不利が露骨な時代では情報を偏在させる力こそ権力だったのですが、マスコミの登場で少しつづ情報は拡散の方向に向かいました。それでも情報発信のフィルターは一部の人々が持っていたために、量的に増えていても画一的な情報だけが伝わっていたのが、ついさっきまでのテレビ中心の時代だといえます。


ITはこれを一気に広げてしまい、そのおかげで情報量は凄いことではなく当然のことになってしまいました。もう情報を集めることより、絞り込むことのほうが大切になってきているわけです。


集めることは筋肉的な話なのですが、絞ることは頭脳的な話です。たかだか、夕飯を食べにいくのにも「どこにどんな店があるか?」ではなく「どの店を選ぶか?」の方に悩まなければいけません。もし、集まった情報を全部比較検証するなら、夕飯を食べる時間もなくなってしまうほどです(笑)。


この面倒くささを簡単にすること、つまり情報圧縮の方法こそが新たな必要スキルになってきたのです。大量なデータを圧縮するデータマイニングや、大量な事実を圧縮する動画などなど。圧縮済み情報の代表格であるクチコミでさえ、「誰かの話を聞く」ことより、「誰の話が大切か」が情報圧縮のポイントになってきました。


絞り込むと言うことは順番を付けると言うことです。順番を付けるにはモノサシが必要です。ところが既に外の世界には大量のモノサシが出回っています。(お金の儲け方やら栄養の取り方やら)


モノサシを選ぶためのモノサシが必要になり、そのまたモノサシにも逡巡しなければならない、これは情報圧縮のための情報圧縮が要求されていることになります。


結局、情報圧縮のための目盛りは自分が持っているモノサシに行き着きます。情報拡充を求めていた頃は「答えは外にあった」のですが、この情報圧縮の時世では「答えは内にあった」と社会の目盛りも書き換えが要求されるのです。

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