ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

06月05日

5月はオープンセミナーが3日、クローズドセミナーが2日、計5日。
今月はオープンセミナーが3日、クローズドセミナーが5日、計8日と、通常月に比べてセミナー構成比が高い季節になっています。


同じ内容でやると不思議と語りに迫力が出ないので、常に、バージョンアップをその備えとしてます。楽をすると受講者に気後れするのかもしれません。


なにせ、一対多数ですから、たとえ「得意先に連絡するのを忘れてた」とか「デートの店はどこにすべきか」という怪しい心持の視線でも、見透かされているのではないか?、と勝手に忖度(そんたく)してしまうようです。(笑)


■間(ま)の神学


元々、禅学に興味があるので、畢竟(ひっきょう)、庭園やら茶道なども視野に入ってきます。そんな性(さが)の延長で、以前、「置き庭」なるものの勉強会に出席しました。


講師は偶然にも、ブランドに関する勉強会で自分が講師を務めた時に参加いただいた方という、お互いが双方の受講者だったご縁もあり、後日、フラットに飲む機会を設けてもらいました。


彼に庭園の話を滔々(とうとう)と、茶道の話を懇々(こんこん)と、語ってもらいました。知をもらえばもらうほどに、腑に落ちれば落ちるほどに、己の造詣の底がいかにも浅いことが露呈していき、恥の日本文化さえ享受したことになります。


※「置き庭」とクールズヴィルのご主人(=その講師)


マイルス・デイビスは「より少ない音で、どこまで豊かに伝えるか」をジャズで極めようとしました。削ぎ落とすことで、メッセージが増えていくというのは古今東西不変なものに感じたりします。


渋谷では待ち合わせた人に目鼻ほど近づいたとしても気が付いてもらえなかったりします。もし、それが砂漠であれば、遥か風紋の先でも視認できるでしょう。いくらなんでも、待ち合わせには相応しくない場所に違いはありませんが、いづれにせよ黒を黒らしく見せるには白が不可欠なのです。


コンサルタントとして行うセミナーのようなライブでは、その場で知識の存在に気づかせ、意味を取り込み、実務に置き換えて解釈してもらうという一連のコミュニケーションを瞬時に成立させようと努力します。音楽のように、歌詞が聞き取れなくてもノリさえよければいい、というギグ的な一体感はなかなかありません。


「以上が私の知識です」というのは前段に過ぎず、常に「さあ、あなたは?」といった無言の空白で受講者の脳にスペースを与えることが大切になってきます。このタメこそ、間ではないでしょうか。


そう思うのは、毎年、セミナーでの言葉量が物理的に減りつつあることにあります。「伝達のための有音」と「解釈のための無音」を程よく施すと、伝わっているという実感が高まり、講座の評価が良くなるので、どこまでいけるのかを試しているようなところもあります。でも、テキストのページが減ることはないですし、伝えたいことに漏れが生じることもありません。これがまた意味深いですね。


単なる「ゆっくり」ではなく、言葉の密度に波の満ち引きを与え、白を創り、黒を浮き立たせること。陰陽合一のごとく、きっと、これが間合いなのかも知れません。


さすがに、名盤「Kind of Blue」ほどのセミナーはないでしょうけど。

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