ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

01月31日

先日、清酒蔵元で新酒の試飲があり、低精白米の日本酒をいただきました。


従来は安い酒のスペックとされてましたが、この逸品は米の味がきちん出ていながら雑味がなく美味いじゃないですか。米は削れば削るほどよく、吟醸、大吟醸ほど美味いはずという既成概念が崩れますね。伝統技の世界といえども日進月歩で腕が磨かれていることを舌で痛感しました。


その味を絶賛したら、利き酒の残りを手持ちの空いたペットボトルに入れてくれました。岐路にチビチビやりながら帰りましたが、たたずまいがシュールです。でも、「カップ酒片手に」に比べれば香りも充満しにくく、スタイリッシュかも。そういえば500mlペットボトル入り日本酒ってないような気がしますが、どうなのかな。


■客導線から犬導線へ


2007年問題といわれる団塊の世代大量リタイアは、その後の生活環境も変えると予想されます。いくつかの生き方チョイスがあるでしょうが、そのひとつに「カフェでもやる?」なんていうことを考えている方々も多いのではと推察します。


カフェは立地が重要ですが、人通りが多い駅周辺は賃料も高く、その分がビジネス・リスクになります。しかし、よく見ると既成の一等地も微妙に変化してきていて、そこに注目するとカフェなども有利な展開が可能になってきています。


近所に出来たカフェもその一軒です。駅近くの商店街からは離れた住宅地にポツンとあるカフェですが、開店してから半年足らずで完全に集客が出来ています。今までの基準では「?」な立地ですが、ここは並木通りに面していて、犬の散歩にこそふさわしい道です。最近は昼夜問わず行き来する賑わいなので、そういった飼い主たちも犬が立ち止まってはここに新しいカフェがあることを再認するのです。


なるほど、人の流れが犬に導かれて変わってきているんですね。こういった犬銀座通りの物件であればコストも相対的に安いはずで、狙い目です。しかし、そのうち犬の通行量調査が常時行われ店舗家賃に加算されるようになるかもしれませんけど。


01月20日

名古屋一泊の出張から帰ってきました。


月に一度のコンサルティングは投宿してまでの仕事ではありません。業務終了後、別の某社に勤務する部長と終電を気にせずに一献かたむけるためです。
同世代の方ですが、会社員にしておくには惜しい人物と個人的に思っています。
ご実家がご商売をされているとの事で、自分の直観に合点がいきました。
だからと言って、独立することが一番の答えのはずもなく、それはただただ人生観の世界です。そんな会話が夜更けまで続くのでした。


ついでながら、名駅周辺にはイケル店が多いですね。特に、古い民家を改造したシャレた飲食店が何店もあり、東京でも見慣れないイキな風情をかもし出していました。


■集中と分散のサイン【その2】 前回の続きということで・・・


では今度は、これを個人単位に当てはめてみましょう。
多くの人々が所属している会社員は以下のような説明が出来ます。


売上が一部の得意先に集中している企業
→その極端なパターン
→一つのクライアントから全ての収入を得ている人たち
→会社員


つまり会社員は、「売上が一部に集中していて危険だ」と語る社長の悩み濃度を煮詰めた立場といえます。


ですから、先ほどの見立てに従えば、「自分のやっている仕事の中で、会社にとって未知の業務をどれだけ日々の仕事に取り込んでいるかどうか」が長生きできるキーポイントになります。同じ仕事の反復や、前任者の受け渡し業務をそのまま繰り返すことは、いつ何時、若い者や外注先(つまり、単価の安い方向)へ置き換わってもおかしくないのです。


クライアント(=勤務先)の知らない領域を開拓している加減こそが、危機の目安ではないか、ということなのです。役職やら給与で自己評価などの静的な視点ではなく、働きの中身の変化度合いという動的な視点で真の健全さを測るべきなのです。


余談ながら、既存業務反復型の会社員を旦那様に持つ専業主婦の方は「得意先一社に依存している企業を唯一のクライアントにする会社」のようなものなので、その潜在的な経済リスクはかなり高いのではないでしょうか。


さりながら、その選択は個々の人生観が優先します。当然ですね。
是非の条理はないのです。


01月16日

冬休み終了後の稼動最初の週です。
新たな挑戦も実施段階にきたものが複数あり、業務をドッとこなしています。見えない大きな流れに腰の辺りまで浸かっているのが分かります。はたして、単なる潮の満ち引きか、大海原へ向かう海流のなせる業(わざ)かどうか、見極めがきかない以上は、直観力が問われます。


■集中と分散のサイン【その1】


順調に立ち上がることの出来た起業家社長と話すことも多々あります。よく聞く嘆きとして「ウチは特定の得意先への依存度が高い、危険ではないか」。その気持ち分からないでもないです。切られたり、倒れたりされたら大打撃ですから。


でも、こういう嘆きもよく口に出ます。「ウチは小口の得意先ばかりで大型な取引先がない、効率が悪い」。もっともかもしれません。一件は一件なので手間は変わりませんから。


こうやって相反する二つの悩みを聞くと、問題が「扱い規模×得意先数」ではないことに気が付きます。


まず、大口の得意先に依存している場合。


気をつけなければいけないのは、その業務内容の多様性または質的変化の度合いです。もう少しやさしく言うと・・・


・業務内容が多様なのか、単一業務大量発注なのか=これによって自社の「頼られ度」が分かります。
前者は補完している関係、つまり、共生関係なので仕事が減っても部分的です。ですから、危険を察知しやすい。ところが後者はコスト重視の外注なので、他に安い会社が見つかれば一気に入れ替え、良くても合見積もりで価格ダウンは必至です。


・業務内容は日々変化しているのか、単なる反復なのか=これによって自社の「進化度」が分かります。
前者はそこに創意工夫が発生しているはずなので、ノウハウが溜まっています。よって、おいそれと他社と置き換えは難しい。しかし、後者は明らかに得意先側にノウハウが移行してしまって、自分たちだけで上手くやる、自分たちでコントロールできる価格の安いところを探す、といった危険性が高いと言えます。


次に、得意先が小口分散している場合


・業務メニューの中で最も件数の多いものがバックステージでのスケールメリットが効くか=コスト優位の可能性、または、A社の案件が他社B社に応用できるノウハウとして溜まっていく構造か=差別化優位への道筋があるかどうかです。これは「改善可能度」があることを気にするという意味です。これがないと営業が走れば走るほど会社が疲弊していくという悪循環が待っています。


要は、静態(つまり得意先別売上構成比など)で課題を感じたら、そこで判断せず、動態(つまり動向や流れなど)から見直しましょう、ということです。


この話し、続く・・・と思う

01月12日

東京は寒い日々です。
蕎麦屋フリークとしては、冬は正念場です。ちと、言いすぎか。


寒い日に品温(ひんおん)が低い「せいろ」を頼むと、同じく冷蔵庫保管であろう付け汁が出てくるのが通常で、全てが冷温なために舌も凍え、なかなか味覚にまで行き着けません。


食品ではこの品温というのはとても重要で、日本酒もヌル燗あたりが最も香りの優劣が出ます。ただ冷やして飲みたいなら醸造酒(清酒・ワイン)でなく蒸留酒(焼酎・ウオッカ)で充分です。


「鴨せいろ」は唯一温かい付け汁です。蕎麦もシャキッとしたままに、舌の上ではほんのり暖かいので、こんな寒い日でも蕎麦の味がきちんと伝わるナイスなメニューです。
ちなみに、ラーメンでも「つけ麺」はこれに当たるのですが、やはり、麺が締まって食感を楽しめ、のびることもないという創意ある食べ方ですね。


麺類は、温度で蘇生し、温度で他界してしまうデリケートな食材群です。パスタでアルデンテが単語として普及しているのは一種、その特性が広く知られている証でしょう。


ということで、「鴨せいろ」以外にもバージョンを増やして欲しいと思う睦月なのでした。
しかし、「つけ麺」は1950年代誕生とのことですが、「鴨せいろ」っていつ頃できたものなんでしょうね。

01月08日

新年いかがお過ごしでしょうか。弊社は今週一杯までが「冬休み」です。
「正月休み」と言うと石投げられそうなので(笑)。さすがに第二週は資料作成(ストックしてきた知識やらを図解チャートとかにまとめる作業)に充てます。


■タイプ論を考える


そんな中でもいくつか本に触れ、「MBTIへの招待ーユングのタイプ論の応用と展開」を読み終えました。ユング発想のタイプ論です。


事のついでに、タイプ論を少し考えてみると・・・
先天的な要素、生まれた時に決定している不変的なものに着目のタイプ論と、後天的要素、環境に影響された結果、どうも自分はこういう傾向があるという自覚に基づいたタイプ論がありますね。本書は16種類に人を分ける後天的要素によるタイプ論で、実証科学的な側面も持っています。


この二分法はタイプ論自体の根拠違いですが、もう一つ、目的違いもあります。未来予想型タイプ論。まあ、占い系はここですな。タイプごとに明日を予想するものです。一方、現状対象化型タイプ論。こちらは、自分のキャラを客観視し、思考や行動を見直すといった心理学的な意味合いが強いようです。


・「先天的要素」×「未来予想型」タイプ論
例えば、占星術、数秘術、


・「先天的要素」×「現状対象化型」タイプ論
例えば、血液型


・「後天的要素」×「未来予想型」タイプ論
例えば、ライフスタイル分析


・「後天的要素」×「現状対象化型」タイプ論
例えば、エニアグラム。
そして、今回のユング理論ベースのタイプ論もここ。


タイプ論をタイプ論してみると、こんな感じの四区分になります。


さりげなく書かせてもらいましたが、実はライフスタイル分析もタイプ論なんですね、それも未来予想型。手相も同じ区分けに入りそうですから、やはり占いの兄弟みたいなものかと、当るも八卦当らぬも八卦と・・・。


えー、このままですとリサーチ関係の人たちから抹殺されてしまうので、少し加筆させていただきますが、マーケティングそのものが占いみたいなものですから、特に新製品市場導入なんか、発売前には開発者も神社仏閣拝み倒しますからね。安心してください(笑)。


悪い冗談はさておき、今回のこのタイプ論で強調されているのは、タイプ自体が一種の意識・行動の偏りで、ある意味、偏執のようなものであるということです。(※エニアグラムでも同様の話あり)そして、自分のタイプを超えることが、自己成長を促す方向である、そういう意味合いを持っています。


確かに、後天的要素のタイプ論はその人が生きてきた環境に対し、生き方のクセのようなものを持ってしまった結果とも解釈できます。ですから、クセを意識し、意図的にそこから解き放つことで、生粋の自分を取り戻す、当たり前と思っていた世界を広げられる可能性があります。そうなると、こういったタイプ論も自己再生や人生再点火のきっかけを提供してくれそうです。


ただ、この書籍でも警告しているように人の類型化は単なるエンターテイメントに陥る危険性もあります。まあ、このあたりは血液型で充分にしたいものです。表現A型で行動B型の事実O型として、そう思います(笑)。


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01月04日

成長とは何かと言われると、肉体的な成長が終わった大人は戸惑います。子供の成長が「身体が変わること」だとすれば、成人の成長とは「視点が変わること」ではないでしょうか。そう思うようになりました。


コンサルティングで大切にしているのは、相手の視点を変えるヒントを提供することです。対象(仕事では案件)から遠くの視点でより広く、近くに寄ってより細かく、現象の背景に入り込んでより深く、過去や未来の流れからより長く、といった具合です。ということは、何気に成長を促す役割を担っていた訳ことになります。でも、伝わるかどうかは別の話ですけどね(苦笑)。


■立ち位置をずらす


反対側から見るなら、人は獲得してしまった立ち位置を変えにくい生き物とも言えます。自分の文脈からは抜け難いものです。


「井の中の蛙、大海を知らず」
この有名な慣用句は狭量な人物を揶揄するものですね。自己の優位を前提に他者批評しているニュアンスです。


では・・・
「井の中の蛙、大海を知らず。ただ、その深さを知る」
この後の句が付くと、俄然、主旨が変わってきます。大袈裟な生き方をたしなめ、日々を見つめる実直な人物像を賞賛しているかのようです。今度は、自己の劣位を前提に人物評論しているようにも聞こえます。


「一寸の虫にも五分の魂」
弱者でありながらも意地がある、勝機はなくとも気骨を見せる行為を正当化する言い回しで、感情の激しい動きに視点があります。


さて・・・
「一寸の虫にも五分の魂。そして、人もまた五分の魂」
幾つになっても人生は完結しないこと、一個の生命体としての謙虚さを尊ぶような、内面を見据える静かな視点です。


ちょっと立ち止まって足元を改めるだけでも、いつも見慣れた風景から多くの示唆をもらえるかも知れません。

01月01日

本年もよろしくお願い致します。
2007年が皆様にとって充実した一年になりますように。


今年は習慣項目を1つ増やしました。さて、これは何かというと「急がないけど大切なこと」を実践するためのもので、最近は多くの人が行っていますね。


自分の場合、その中の一つに「カルチャー(Culture)」という項目があります。美術館へ行く、新しい音楽を聞く、映画を見る、仕事以外の本を読むなどが該当します。スコア化しているので対前年で何回実践できたか分かります。ちなみに、仕事関連の本は「ビジネス」にカウントされます。


年末に漫画を大量に読み込んだのも、ここのスコアが前年対比でマイナスなことに気が付き、駆け込んだというところです。(最近、漫画読めてないという反省も多分に含んでますけど)忙しくなると、なかなか優先順位があがらなく危険を対象化する訳です。


では、今度の新項目は何かというと・・・秘密です。(笑)ただ、「急がないけど大切なこと」を実践するためのものなので、いつの日か必要になるであろう、そんな細目です。


とりあえず、1月1日にワン・スコア実践しました! 
なんといっても三日目が山ですね(笑)。


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