ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

05月30日

期間終了間際の展覧会二展を回ってきました。
最終日にニキ・ド・ザンファル展を東京駅で、最終日前日にエルンスト・バルラハ展を東京芸大でといった具合です。


■なぜ人は美術館を訪れるのか
こうやって、世知辛い展覧会巡りをしながらつらつら考えたことがあります。
美術品そのものは何らサービスを提供しないものである、と。
「いらっしゃいませ」「見てね」など愛嬌のあるセリフひとつもない、寡黙にたたずむだけのものです。


コンサートなら汗のほとばしる演奏があり、芝居なら緊張を打ち破る演技があるわけですが、絵画や彫刻はそこのところに橋渡ししようとする計らいが全く見られません。
結局、見る側の努力と誠意に委ねられているのです。
お金を払ってまでして行く理由はそれぞれでしょうが、そこでは己の審美眼と作品たちが勝負を繰り広げていることは間違いありません。


「勝てるファイト=受け手が美を見出し、うるうると感動を持ち帰る」、「負けるファイト=受け手が何ら感じ取ることができずにすごすごと帰る」と区分けできますので、自分が勝てそうな試合を選ぶことが投資(入場料+交通費+余暇時間)に見合う戦い方です。


でも、西洋の印象派やら日本の美人画など分かりやすい作品群ばかり眺めて「いいね、これ」を続けるのは、毎年同じチームが優勝しているプロ・リーグが面白くないようなマンネリ感に陥りそうです。
とはいえ、ポストモダンや実験芸術のような代物で負けが込むなら、我が美の鑑識力もゆるゆると自信を失うこと必定です。


ですから、常にちょっと背伸びして、ちらちらと異質を愛(め)でながらも、一方で、ちょこちょこと得意分野の美術に触れておくのが良き鑑賞姿勢ではないかと思います。
トーナメント戦では全勝する者以外は敗退ですが、リーグ戦なら六勝四敗でも十分に優勝圏内です。


そして、人は今日もスタジアムと見立てた美術館へいそいそと向かうのです。

05月25日

◆先日、立命館アジア太平洋大学の卒業予定者からインターンシップを希望されてしまいました。自ら考え、行動に移し、働きかけるという大学生として素晴らしい態度に感動しました。


でも、弊社は個人事務所なのです。
トヨタ自動車は単独では6万人ぐらいの会社だそうですが、インターンシップで同じく6万人の大学生を受け入れたら、もう車作りどころではなくなるでしょう。それぐらい無茶なリクエストです。


ということで、渋谷サテライト・オフィスが設置してあるデザイン会社に頼み込んで、そちらのマーケティング部門で受け入れていただくことにしました。皆々様にはご協力、深く感謝いたします。


◆先週に引き続き、昨日も名古屋にてコンサルティング業務でした。
終了後、他のクライアントの名古屋支店の部長さんで、以前、東京で仕事をしたことがある縁ある方と会食しました。
社内のマーケティング研修を依頼されてましたので、打ち合わせも兼ねてです。
営業部隊の若手にマーケティングの視点から自分の仕事を考えさせたいという、なかなか味のある裁量に心を動かされました。
是非、期待に応えられるよう、頑張らせていただきます!


こうやって気分のいい人々と会え、個人の成長にヒントをもらい、日々の生活が充実する立ち位置で生業を営めるのは有難いことです。
ここまで仕事・ここまで生活・ここまで遊びといった縫い目なしで学べるが故に個人事務所という業態を選んだようなものですから。

05月21日

掲示板など書き込み検索、俗に言うネットでのクチコミの精度が落ちてきているようです。
先般の消費者ヒアリングからも、ポータルや掲示板サイト、ブログからの商品情報入手に関して疑問を持つ人が多くなってきている、そういう感じがしました。


「参加者の数が増えると、情報の質が薄まる」とはWEB業界に詳しい知人の言葉です。なるほど、自分に置き換えてみても、そういった商品情報(たとえ、信頼できると評判のサイトでも)を鵜呑みにしなくなってきています。きっと良い商品なのかも知れませんが、こちらの嗜好とのズレが大きいせいか、満足度が鈍りがちです。
検索結果が大量になればなるほど、自分にフィットした商品情報と出会う確率は低くなってしまうからでしょう。


■クチコミからショッピング・メンターへ
では、これから人々はどのように商品情報を自分なりに評価するかというと、それぞれのジャンルで信頼できる人の推奨を求めるようになります。ポイントは一方的な信頼ではなく、お互いを知った上でのオススメ情報になることです。
これはリアルの世界では当たり前のことです。次に買うべきPCは何か、行くのがいい温泉はどこか、読むとためになる本はどれかなどなど、こちら側の人となりを知った人ならではの勘案された推薦こそが質の高い情報になります。


よって、リアル、WEBに関わらず、信頼できる人と信頼できる関係を構築しようとします。それは一種のメンターであり、買い物に関してはショッピング・メンターと言えるものです。
仕事だけでなく、学び、遊び、全てに渡って何人のメンターを持てるか、そのための友好な人間関係を築けるかが、生活の質に直結する時代に入って来ています。

05月17日

今週は月曜日内勤日に関わらず、かなりキツイ一週間になっています。
オープンセミナー二日、コンサルティング、出版企画会議、二泊三日出張、飲み会・・・失礼、最後は遊びでしたね(照)。


月曜日を開放すれば少しは緩くなるのを重々承知なのですが、内勤日は貴重なインプットのための時間と考え、死守しました。
その結果、関係各位の皆々様には不自由な時間調整をお願いする場面も出てきますが、何卒、ご理解ください。
これからもこの方針は貫こうと思っております。(志)


こうやってメリハリがあるのはいいのですが、この季節ちょっと困るのは洋服の入れ替えにより、買い物が必要になることです。


・オープンセミナー:フォーマル。 参加者すべては初対面のため
・社内セミナー:セミ・フォーマル。 参加者も緩い服装なため
・コンサルティング:失礼のない程度のカジュアル。 参加者との懇意度合いが高いため
・執筆:気楽さ優先のカジュアル。 自分が自分自身に集中するため


こういった微妙なドレスコード違いが、衣替えのタイミングで一気にやって来ます。ところが、忙しくなるほど衣装が必要となるのに、購入時間がありません。
ということで、明日からの名古屋出張では帰りの新幹線の待ち時間を利用し、駅近くのデパートに駆け込む予定です。
瞬時に見立てて、即決で仕入れます。(念)


05月12日

◆入稿済みの出版予定だった本が企画変更になり、内容大幅に見直しになってしまいました。
当初は通販形式だったのが一般書籍として扱われることになり、微調整きかず、全面書き直しです。
チャネル変更の問題より、ターゲット変更の問題が大きいわけです。マーケティング的にはチャネル変更だけなら戦術変更なので、並列関係のプロダクトの変更は原則、必要がありません。でも、ターゲット変更は基本戦略の変更ですから、下位関係のプロダクトは全面的な調整が求められます。
気分良く語ってみましたが、著述するのは誰あろう自分です。一般書籍の方が絶対部数は増えるのだ、という強引ポジティブで行きます。


◆随分前にスタートした二社コラボによる新製品が発表されました。いやあ、足掛け2年です。軽く「何かできそう」という話を持ちかけたのは誰あろう自分なので、形になって面目が保てました。やはり、「やっぱりダメでした」は言いだしっぺには辛いですからね。
PRし易い設計も功を奏して、マスコミにも取り上げられつつ、この夏への販売に向かいます。
お陰さまで、販売先の事業部長から次の業務の打診をいただきました。この評価フィードバックが最も誇れるものです。


◆ある流通系の企業の社内セミナーを請け負っています。ここの案件がユニークなのは、いつもテーマの切り取り方というか、設定の仕方が他社にないものということです。
「マーケティング→競争優位のためのマーケティング」、「ビジネス・プランニング→市場創造のためのビジネス・プランニング」といった踏み込みを求めてくる会社です。「のこぎり→ヒノキ専用のこぎり」みたいな感じでしょうか。そのため、一般のセミナー・パッケージでは過不足感が否めません。
ということで、削ったり深めたりカスタマイズする分けですが、その論考も誰あろう自分がするので、なかなか知恵エネルギーを消耗します。

05月09日

内勤日が多いと、実のところカフェ利用が増えます。結局、外勤なんですね。
ご近所のカフェもいろいろあるので、こんな分解をしてみました。


■ご近所のカフェ構造分析(サンプル数=1人)


◆基礎データ
西小山エリア(最寄度ランクA)
・T:独立系、 コーヒー類ランクB、居住性ランクA, 接客ランクA、禁煙・分煙なし
・C:チェーン系  コーヒー類ランクB,居住性ランクB,接客ランクC,禁煙、分煙あり


旗の台エリア(最寄度ランクC)
・L:独立系、コーヒー類ランクA,居住性ランクA,接客ランクA,禁煙、分煙なし
・M:独立系、コーヒー類ランクA,居住性ランクB,接客ランクC,禁煙、分煙なし
・K:チェーン系 コーヒー類ランクB,居住性ランクB,接客ランクB,禁煙、分煙なし
・D:チェーン系、コーヒー類ランクB、居住性ランクB,接客ランクB,禁煙、分煙あり


武蔵小山エリア(最寄度ランクB)
・S:独立系、 コーヒー類ランクA,居住性ランクC,接客ランクB,禁煙、分煙なし
・D:チェーン系、コーヒー類ランクB、居住性ランクB、接客ランクB,禁煙、分煙あり
・A:チェーン系、コーヒー類ランクC,居住性ランクA,接客ランクB,禁煙、分煙あり


◆利用ランキング
一位、L:内勤日の二日に一回は利用している。主目的は読書。難解な本を読むのに相応しく静か。なんといっても空いているのがいい(経営上は別問題)。コーヒーテイストはかなりのレベル(400円程度)。つぶれないで欲しい。


二位、T:外勤日に立ち寄ることが多い。主目的は読書。読書時間はLに比べ短いのは混んでいて騒がしいせいか。まあ、煙たいことも一因だろう。
しかし、猫が出入り自由なのは衛生上問題ではないかと考えるが、いかがなものか。


三位、A:内勤日に利用する。主目的は原稿書きなのでPC作業。禁煙スペースが充実しているので集中しやすい。ただし、コーヒーは絶望的に不味い。店側は価格の安さでカバーしているつもり(200円程度)だろうが、場所代だと思えばこその値段であり、値札を付けられる飲み物ではない。


四位、S:特に規則性はないが、主目的はコーヒーを飲むため。何でこんな昭和チックなオンボロの店が生き延びているかは武蔵小山7大不思議のひとつ(嘘)。客層平均年齢高し。理由は60年代後半から70年代ロックしかBGMで流さないことと思われる。人々はコーヒーの味と店作りのギャップに魅入られてしまうのかもしれない。


◆総括:選択の優先順位は以下の通り
・選択優先順位1)
接客ランクCは自動的に削除、つまり対象外。 
※接客ランクCはいずれも店長の人的な下品さが災いしている。


・選択優先順位2)
居住性ランクは利用頻度を高めている。同時に、使い分けも居住性による。
 

・選択優先順位3)
コーヒー類ランクは最後の選択に寄与している。圧倒的に美味しい場合のみ、上記2条件を超えて支持される。


・選択非関与の項目)
最寄度合いがほとんど関与しないのは、気分転換にはある一定の離れている感が必要だからであろう。


しかし、ゴールデン・ウイークとは言え、また、つまらないものを分析してしまった・・・(某キャラ風)。

05月04日

ほとんどの顧客先がお休みなので差し迫った業務もなく、集中して事を成すには有難い一週間と言えます。
机に向かうだけでは辛い時も散歩が救ってくれます。五月晴れだと新緑が違いますからね。普段と同じ一歩でも、十歩分くらい気分転換になります。


■ある観葉植物の野望
メイン・オフィスには観葉植物が5鉢あります。
なぜ、こんなにあるかというと、1鉢であればケアを怠ってしまうからです。つまり、枯れると(笑)。
さすがに5つもあれば、どうやっても眼に入ってくるために水やら日当たりやら世話を焼かねばなりません。強制装置としてのクリティカル・マスです。


さて、この中に一つ、購入時は大人の膝丈だったのに、今や肩あたりまで来ているものがあります。横幅もそれに応じて四方八方に葉を広げ、引越しの際には玄関ドアから出られないのではないかと苦慮しそうです。


いえ、本当の心配は植物らしからぬ早い成長にあります。
そして、それはもしかすると・・・・


ディズニー的な結末:
ある日、植物に足が生え、花の変わりに顔が生まれ、生意気にも喋りだす。あれくれ、これくれと住人をこき使うだけでなく、退屈だと難癖をつけてはあちこちに歩き回り、いたるところでハチャメチャないたずらを繰り広げ、町中はもう大パニック。すべては住人のせいにされ、周囲の人たちから責められ大弱り・・・・


円谷プロ的な結末:
ある日、天井を突き破るほどになってしまった植物は、もはや太陽の光では栄養は足らず、周囲の生き物を食べることを決めた。水をやろうと近づいた住人に突然襲い掛かり、人の腕ほどある葉を何枚も巻きつける。
もがき苦しみ助けを呼ぼうとする住人も遂には怪物と化した植物に取り込まれてしまう・・・・


水木しげる的な結末:
ある夜、どこからか泣き声が聞こえると思ったら、それはその植物そのものからであった。その植物の前世は熱帯雨林に住む少女で、ふるさとのジャングルが人々に伐採され、失われていくことを嘆いているのであった。助けて欲しいと懇願するので、同情した住人が頷くと、とたんに、住人は鉢植えの植物にされてしまう。
そして、入れ替わるように人の姿になった少女が傍らで不気味に笑っている・・・・


観葉の域を超えてますな。
人葉植物か・・・・(怖)。


幸い、今のところ上記の兆候は見受けられません。

05月01日

日曜日に心理学の勉強会で自主発表をさせていただきました。
参加者が順番に、それぞれの問題意識を元にメンバーに研究内容を問うというものです。


コンサルタントとしてクライアント先では常に意思決定を伴う会議に臨むことになりますが、個人の意思決定に比べ、集団の意思決定(正確には、集団を代表するメンバーの意思決定)では決定のためのプロセス、要素、タイミングが複雑になりがちです。
これを統合心理学(インテグラル心理学)の手法を応用して説明し、具体的な対応方法を示すという、仕事と勉強の境界を取り去り、この二色を混ぜ合わせてみたという試みです。


発表したテーマですが、簡単に説明するとこんな感じです。


「意思決定不可能にさせる5つの状況」が会議にあります。それが・・・


・ビジョン不足の会議
・アイデア不足の会議
・事実不足の会議
・分析不足の会議
・計画不足の会議


ポイントはこれらを指摘・糾弾・断罪することではなく、メンバーが意思決定するために今、何が足りないのだろうという共通認識が欲しいということです。
もし、そういう事前認識があれば、かなり会議の状況は改善され、討議の効率が向上するというコンサルタントの臨床現場からの抽出・整理・提案です。


統合心理学では、この5つを三つの領域で区分けできます。(※あまりにも専門的なのでここでは割愛)
そして、その領域全体は個人であれば一人の脳が一元的に処理するので問題を起こしにくいが、集団であれば複数の脳がこれに取り組むことになるため、事前に混乱を予想しておくことが大切になる、といった内容です。


特に仕事としてすべきものではありません。でも、こういった発表の場を与えてもらったが故に、自ら資料を作成する動機になり、その過程そのものが新たな学びになったということで、深く感謝しております。


ゴールデンウイーク「急がないけど大切なこと」第一弾、でした。

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