ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

11月24日

鍛錬中の経過報告


二週間での主な鍛錬メニュー
・セミナー:東京地区×5回、徳島×1回、大阪×2回 
・コンサルティング:東京地区×2回、京都×1回、名古屋×1回、秋田×1回 
・土曜日オフ: いづれの週もなし


上記のうち、約半分が終了しました。去年も11月から12月初頭はキツイ日々でしたので、どうも年末前の業務集中期のようです。終われば毎年恒例のヤスハラ・マーケティング・オフィス全社合同のスキルアップ研修合宿が待っています。一人で温泉に行くだけですけどね(笑)


鍛錬での収穫は以下のとおり


1、ブランド・セミナー
今回は初めて、商品ブランドで一日、コーポレートブランドで一日という完全なセパレートで実施しました。純粋にコーポレート・ブランドの入門セミナーは今回が初めてです。前者が、マーケティング部門、開発部門中心に対して、このコーポレートブランドは経営企画室、人事部などを想定しています。


コーポレート・ブランド・セミナーがショックだったのは、終わって即、コンサルティング依頼が複数発生するのと同時に、内容に関して難度が高いという批評も別の方々から複数いただいたことです。


コーポレートブランドの間口が広いのと、こちらからの参加案内に誤解を招く表現があったのと両方ではないかと考えていますが、セミナーの品質基準をどこに置くのが理想的か悩むことになりそうです。


2、JMA Succesful Marketing Seminar
パイロット版として、日本在住の主にEU出身の方々にマーケティング・セミナーを終日実施しました。日本でブランドを導入・育成するための事例、手法などの解説セミナーです。主催側もどのようなニーズがあるのかのヒアリングを目的にしてます。


サバイバル・イングリッシュでどこまで通用するのか、ゲストスピーカーのサポートも借りながらの進行でしたが、予想通りコミュニケーション・トラブル多発(苦笑)。それでも今回、このセミナー講師を受けたのは、どうしても確かめたいことがあったからです。ヤスハラ・マーケティング・オフィスでも、日本の企業が海外でどのようにマーケティング業務をマネジメントするのか喫緊の課題です。


タイや中国など現地の人にどこまで任せ、それでいてブランドの世界観をグローバルに統一して維持するにはどのようにすればできるか?、このテーマへの回答として、現在持っているマネジメント・アイデアを逆の立ち位置の人々に説明し、受け入れがあるかどうかを見極めることがセミナーの個人的な主眼でした。


ここに関しては、ブランド・マーケティングに詳しい人ほど反応が良く、国籍に関わらなくとも一つの社内ブランド・マネジメントの仕組みまで行けそうなことが判明したのが大いなる収穫でした。 今後のマーケティング・マニュアル作成時に応用していく予定です。いづれにせよ疲れました・・・・(笑)


3:立命館大学院 ビジネスソリュ-ション
二週間それぞれの土曜日、大阪サテライト・キャンパスにて合計4コマを「中小企業のためのマーケティング」というテーマで講義させていただきました。 ほとんどが社会人、または社会人経験のある方です。最後は、やはり試験にし、迷った挙句、昨年、立命館アジア太平洋大学で実施した内容と同じ問題で書いてもらいました。はたして、大学生とどこまで相違があるのか?


「あなたがラーメン屋をやっていて、ちょうど半年経つ。最初の三ヶ月はお客さんが増え続け、最近三ヶ月は減り続け、来月は赤字になる。さて・・・」といったお題で、どのように問題点を確認し、対応をするか、といったものです。


結論から言うと・・・・
やはり、違うということです。社会人経験があると着眼点、アプローチ、対応方法の優先順位、どれをとっても大学生の比ではなく、遥かに優れています。まあ、当然ですかね。考えようによっては、大学生は大学生で早めにそういったフレームに接しておけば、将来、今回の参加者を凌駕できる可能性もあるわけです。


さて、後半の鍛錬メニューへ突入しますが、どうなることやら・・・・です。


11月17日

地獄の二週間が始まりました。(昨日からです)


でも、地獄というのは大人気ないので、試練の二週間と思ううようにします。


でも、試練というのも自虐的なので、鍛錬の二週間といい直すようにします。


地球温暖化も、温暖=いいなあ、というイメージがシリアスさを邪魔してるような気がします。地球熱帯化ぐらいでも、人によっては、熱帯=それもまたいいなあ、と感じてしまうかもしれません。やはり、地球灼熱化(ちきゅう・しゃくねつ・か)ぐらいの表現が、人々の集中力を高め、少しは何とかしようと思うようになるのではないでしょうか。


でも、地球阿鼻叫喚化(ちきゅう・あびきょうかん・か)まで行くと、オオッというインパクトは付けられますが、はったりかな、という逆の心理が働きそうです。


いづれにせよ、繰り返し使ううちに「そうか、そうなんだ」ということにもなるものです。仕事で鍛錬とは望むべくもない光栄な日々、ということにしておきましょう。

11月13日

最近のニュースを眺めながら、こんなことを思い出しました。


ずいぶん昔に、「うちも楽天のようになるには、どんなサイトにすればいいかな?」という質問を受けて、「あなたは、楽天という名前をどこで知りましたか?、WEBで見て知ったのですか?」と返したことがあります。


「あなただけでなく、みんな楽天を新聞や雑誌で知ったんですよ」、つまり、リアルでの露出拡大で市民権を得たサイトなのです。


もちろん、これは先頭を走っているからできたことで、マスコミがEコマースの代名詞だと思うが故に、マスコミは取材先にする、ますます有名になるということです。


■ダイエーと楽天


市場のライフサイクルで、ダイエーのスーパーマーケット、楽天の仮想商店街(新聞表記に従ってますが、もう少しカテゴリーネームに工夫が欲しいですね)を見比べてみましょう。どちらもカテゴリーの中心的な存在です。


ライフサイクルは、市場創世期、市場成長期、市場成熟期、市場衰退期の4つに区分して説明するのがポピュラーです。春夏秋冬のイメージでしょうか。


○市場創世記
いままでなかった習慣を作ることがカテゴリーを作ることになります。馬車しかない頃の自動車、固定電話しかない頃の携帯電話などなどです。物を売るのではなく、習慣を啓蒙することそのものがビジネスでの成長とイコールの時期です。


・スーパーマーケット:
まだ小売店が小規模単位だった頃、新しいスーパーマーケットという形態が出来ます。カゴを持って商品を取ってレジで精算するという、新しい生活習慣の登場です。
ダイエーはこの受け入れられていくカテゴリーの先頭にいました。


・仮想商店街:
まだ商品はリアルな世界で買うのが一般的だった頃、新しい仮想商店がという形態が出来ます。クリックすることで買い物をするという、新しい生活習慣の登場です。
楽天はこの受け入れられていくカテゴリーの先頭にいました。


○市場成長期
カテゴリーが市民権を得ると、どこで買うかが問題になります。ここではシェアが重要な指標になってきます。


・スーパーマーケット:
リーダーであることとそうでないことではスケールメリットが違うのでダイエーは店舗数と面積の拡大でその位置を目指します。チラシを大量にまいて顧客の選択を喚起します。


・仮想商店街:
リーダーであることとそうでないことではスケールメリットが違うので楽天はマスコミ露出とサービス内容の拡大でその位置を目指します。マスコミに露出ネタを提供し、顧客の選択を喚起します。
(楽天イーグルスも一役買います)


○市場成熟期
カテゴリーの成熟は販売量の前に、利用者数が頭打ちになった時に始まります。このときは、リピーターの構成比が重要にjなります。シェアから利益へ指標が変わっていくのもここです。カテゴリーキラーと呼ばれる既存カテゴリーをずらすビジネスが参入しやすくなります。


スーパーマーケット:
一般的には何でもあるスーパーマーケットに対抗して、専門店や独自のサービスが競争相手として登場してきます。顧客も、こだわる買い物と、こだわらないが必要な物を買い分けるようになります。ダイエーは家電量販店、ドラッグストア、コンビニ、惣菜専門店などで虫食い状態になっていきました。


仮想商店街:
まだまだ先の話でが・・・
一般的には何でもある仮想商店街に対抗して、専門性や独自のサービスが競争相手として登場してきます。顧客も、こだわる買い物の探し方と、こだわらないが必要な物の探し方を分けるようになります。楽天もそういった新手のEコマースがで虫食い状態になっていくかもしれません。(未来を変えることはできるか?、注目ですね)


○市場衰退期
生き残りゲームになります。ロイヤリティが高い顧客にどこまで支持されているかが生き残れるかどうかの違いになります。長く生きれば、他社がつぶれるので残存者利益も期待できます。


スーパーマーケット:
ダイエーもついに・・・再生機構へ
イトーヨーカドーやジャスコも一時期の勢いはありません。カテゴリーキラーもユニクロなど専門性+新しいビジネスの仕組みを持つ強力なものが登場し、厳しさは増える事はあっても減ることはありません。


仮想商店街:
楽天もついに・・・・
(そうなって欲しいと思っているわけではありません。念のため)


市場ライフサイクルの説明力はどれほどあるのか?、はたまた、マーケティングの理論は簡単に避け切れるザルなのか?、興味あるテーマです。


ソフトバンクについてはどうでしょうか?、考えてみてください。(笑)

11月10日

千葉県の船橋にてマーケティング・プロフェショナル・コースの合宿が終了しました。合計17時間・・・やはり、疲れました・・・(小嘆息)


ビジネスからスタートして、マーケティング・ミックスのアクション・プランまで一気通観するというプログラムの締めなので、やむを得ないところです。4期目ですが、毎年、ここが大山になります。


新製品アイデアの出来・不出来は問わない(それは消費者の受容性でチェックし、ダメならやり直すだけ)のですが、会社の目指すことと顧客の求めるものの間に矛盾や、思い込みによる恣意的提案は厳しいのがこの講座の特徴です。


なので、今まではステップごとの課題整理だったので帳尻が合ってたものも、最後にまとめてみるとNGなどということが起こって、やり直しもありえるからです。


今年は、各グループとも問題は抱えてますが、つまずき方(ステップ間の段差)がシンプルなので、「振り出しに戻る」という指導で、メンバーを絶望の谷に突き落とすことはありませんでした。(小嘆息その2)


ただ、正直に言えば、ここで大きく失敗してくれたほうがいいんです。きつい試練で覚えた知識は、本番で成功をもたらしてくれる確率を上げるからです。セミナーで褒められても、会社にも個人にもメリットはありません。
「晒す(さらす)」ことが尊いのです。


■アイデンティティとプライバシー


HPを個人で持つ、メールマガジンを個人で発行する、ブログで個人写真を日々、掲載する、という流れは己をどこまで晒すかという意味合いも持っています。


先日、自分の部屋をCCDカメラで晒しっぱなしにし、ライブでプライベートを自分のHPで公開するという人の話を聞いた時、これは「奇行としての話題ではなく、もしかすると来る世界への準備かもしれない」とも思いはじめました。


国や会社や家族などの境界がメルトダウンしていくと、自分を外から説明する単語が少なくなります。「どこどこに住んでいるからこんな人です」「どこどこという会社に勤めているからこんな人です」「こういう家族なのでこんな人です」が、人物の外郭を作ってくれなくなるからです。
ヤドカリの種類は、立派な巻貝かどうかだけでは特定できないのと似ています。


ならば、「私はこういう生き方です」「私はこういうことが出来ます」「私はこういう人間関係を目指します」という思考によってアイデンティティ探しをしようとするのも無理ありません。ミノムシが周囲の散らばった素材を巧みに集めて、個性的な外装とするようにです。


自分の生活をハイテク機器とブロードバンドでビジュアルや言葉を用いて積極的に公開するというのは、実は、まったく新しいアプローチかも知れないのです。


どんどん見せていく。どんどん晒していって、周囲から分かりたいなら分かりたいだけオープンにする。これでもかとプライバシーを捨てたとして、それで他者は「あなたはこんな人ね」と言い切れるのだろうか?、それでも晒しきれない何かがあるのではないだろうか?


もしかしたら、それがビジュアルも言葉も超えたフニャっとしたプライバシーのカスにして、消し去ることの出来ないカチッとしたアイデンティティの原石ではないだろうか?


アイデンティティ ⇔ プライバシィ


お互いが反意語の対、という大胆な語義になります。不思議な感じですが、ありえそうな気分が昨今の空気です。

11月08日

現在、テキスト作成中です。


己の知識を棚卸し、再集積する世界です。テキストは教科書ではありません。動的な知識を伝達するための銅線に過ぎないのです。


ですから、セミナー自体では座学に終始することは少なく、ワークショップなどを通じて、参加者の脳を伝導体に変えるようにしてます。ワークショップのテーマ設定は、臨済宗の公案のごとき、答えのないところに気づきを与えるものなので、枚数以上に深みを要求されます。


両手を鳴らして、鳴ったのは右手か左手か?、などと圧縮していながら質量は無限のブラックホールがごときお題が理想ですが、凡夫ではなかなか難しいところです。

11月03日

11月はセミナーの月になります。


日本能率協会、マーケティング研究協会、立命館大学大学院、とくしま産業振興機構などなど、合計9日を数えます。5、6月もセミナーの多い月でしたので、半年周期なのでしょうか?
今回から始めるテーマもいくつかあり(難度も高め多し)、テキスト&レクチャーで終始しそうです。


きつかった新製品導入のコンサル案件も発表会の案内が発送されましたので、あとはクライアントの現場でのアクションに移りました。まずは、一息。ただ、市場での育成に関して、第二フェイズとしてコンサルティングをスタートさせますので、こちらもアイドリング状態に持っていかねばいけない感じです。


いつもながら、新製品では「品質にブランドの拠り所が必要だなあ」、と再認識しました。基本価値が崩れれば、情報価値やら周辺価値やらといった価値の重層も乗せようがないということです。


新製品導入プロト品でのホームユーステストも終了し、簡単な受容予測から全国発売時に必要な知名率と販売店数をシュミレーションしました。基本価値部分が高いと歩留まりがぜんぜん違うので、結果、広告や販売などのマーケティング投資も少なくて済みます。それを証明してくれるハイ・スコアでした。


当然ですが、これはコンサルタントの手柄ではありません。(笑)

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