ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

04月30日

執筆が佳境です。
内容は決まっているので、あとは表現に入ってます。ただ気をつけないと、調子良く書いてるときに限って、言葉が滑るだけの人の役に立たないページになってたりします。


■表層マーケティングはどこまで有効なのか?


ちょっと離れた駅の近くにあるラーメン屋は以前からあったのですが、リニューアルしてました。そのせいなのか、かなり混んでいます。どんな感じなのか試してみて分かったのは、良く出来ているなあということです。それも、ラーメン自体でなく、ラーメンの演出が。


・香りのついた油をたらす
→スープは普通でも一口目は何か違う印象が与えられる
・チャーシューは大ぶりのものを限りなく薄く
→作りは変哲もないけど、すぐ噛み切れるところがとろけるような食感に近い
・麺は固め
→どうってことのない麺でも、こだわった店風に思える(消化によくないけど)
・メニューには「・・・産の・・・」という表現を墨文字で記載
→体感できないが、きっとそうなんだろうという気にさせる

コンサルタントが入っているのか、主人が考えたのか、今のところ十分機能してます。これだけ集客できれば大成功なのでしょう。


某企業が自社製品のトラブルに際し、「役員報酬を594円にします」と記者発表しました。数字に所以があるところがミソで、どのマスコミもこぞってそのストーリーを載せましたね。


記事のスペースの相当な部分をそこに割いたので、トラブル発生の企業責任や体質の話を少なくすることが出来たわけです。これも本人のアイデアか、PRコンサルの契約サービスかは分かりませんが、十分に機能しました。


表層での成功もマーケティングにとって大切です。でも、もし、表層に頼る気持ちを高めていくことにつながるとするなら、いつか厚く積もったテクニックが表層なだれを起こして、怪我人が出てこないとも限りません。自損である分には問題はないですけどね。

04月26日

社会的に大きな出来事があると、近況報告もそれに触れたものか、避けたものか迷います。
生生しければそれだけ情も移ろうかというもので、なかなか訳知り顔で語るのもはばかれます。


ということで、少し時間的にズレた話。


■帰属欲求が満たされることと、それに伴う義務感


心理学では人間の欲求の一つとして帰属欲求をあげています。学者によって表現は異なる(例えば、マズローなら社会的欲求)ものの、社会的な組織やグループに参画したい、仲間として扱われたいというのは共通です。


この組織というものにメンバーとして迎えられることは、帰属意識が満たされるので、まずは満足感を得られます。でも、メンバー全員が帰属欲求を満たし続けようとすれば、組織は維持されなければいけません。存在そのものを確かなものにしなければ、参画先を失ってしまうからです。


ここで共通の義務が発生します。「みんなでこの組織を守ろう!」という動きです。もちろん、一人の人間は国家、会社、地域といった一般的なものから、ファンクラブ、遊び仲間のようなインフォーマルなものまで、いくつもの組織に帰属してます。


よって、「組織が危ない」となれば、いたる場面でこの義憤のような衝動に巻き込まれるのはやむを得ないのかもしれません。


日本と中国という国家間のナショナリズムも、柏レイソルと名古屋グランパスというファンクラブ間のフーリガン行動も、根元はかなり近いところにあります。それぞれにカウントされる自分で満たされてきた帰属欲求の反動のようなものでしょうか。

04月20日

水曜日の内勤日。雨は雨で、新緑を引き立ててくれるのでいいものですね。


いつも月曜、金曜を想定しているので、気分が少し違います。執筆に当てております。(Z社さんへ・・・・お待ちください)


■直感について


個人の直感を大切にする、と主張しているので直感について考えていることを書きます。


「直感」は「好き・嫌い」とは違う、ということ


ここが要諦だと思ってます。
「好き・嫌い」は実のところ経験(直感、論理に対してもう一翼を担うもの)が凝縮されたものです。過去の体験から、「上手く行った、気分がいい」=好き、「上手く行かない、気分が悪い」=嫌い、という風に経験値を言語ではなく感情に記憶させたものなのです。


直感は本来、情報不足や情報過多の状況でも未来の指針を与えてくれるものなので、過去についてはニュートラルであるべきです。


人はややもすると「好き・嫌い」という衝動を、「直感力だ」と見間違えてしまうことがあります。
こうやって書くと、好き嫌いでジャッジすることの多い子供が持つ特徴のように見えますが、まったく逆です。


「好き・嫌い」は経験圧縮版なので、経験度合いが長く、幅広い大人の方がこれに左右されやすいのです。大人として表現上、「好き・嫌い」という単語を避けているだけで、実態は過去に照らし合わせて瞬時に判断しがちになります。


若いうちは知らないことのほうが多いので、「好き・嫌い」で判断できない場面はいくつもあります。当然、立ち位置が中立ですから、直感力が発揮される環境になるのです。


では、大人はどうすればいいか?
もう一つの領域である論理によって、経験が感情的に固まった「好き・嫌い」をできる限りほぐしてやることが大切になります。


面白いことに、直観力とはもっとも相反するはずの思考力が助けてくれることになるのです。
もちろん、論理によって、経験のエッセンスが明確になると、「それが正しい!」と思いがちです。


でも、そこはあくまでも感情的な「好き・嫌い」を言語的な経験に置き換えた横滑りなので、注意が必要です。


これ嫌い→ピーマンに似てるから嫌い→苦いものが嫌い→苦いものはすべて否定してよいか?→苦くても必要なものがある。薬とか→さて、これは何か?


「好き・嫌い」が止まれば、そこで「合ってる、間違ってる」も止める。そんなことを心がけると、直感は自由度を増し、本当に重要な場面で役立ってくれると思っています。

04月14日

名古屋へ。
一時間ちょっとのミーティングのために往診しました。急患だからです。クライアントが必要とするときこそ、役に立たねばいけませんからね。内勤日として空けておいて助かりました。
(目的通りの使われ方ではないですけど・・・笑)


渋谷へ。
夕方には東京に戻って来ていました。
弊社HP作成のコムストラクト社長の中野さんと久々の飲み会。前回はディープ新橋あたりでこちらのお勧め店でしたが、今回はディープ渋谷とも言える奥地で洋風魚料理店をご紹介いただきました。今後の身の振り方やら人材採用論やら演劇の話やらてんこ盛りで楽しめました。御礼。


弊社HP自体の評判も良く、取材依頼なども来たりしています。HP製作会社と所有者の関係は、建築家と施主の間柄のようなものです。自分が褒められているわけではありませんが、それを採用・発注したという点はちょっと自慢できます。(アスリートの靴自慢のようでもあるが・・・笑)

04月10日

花粉が多く飛ぶ年は桜も威勢がいいのか、今年の花はいつになく色艶もゴージャスに感じます。


営業時間圧縮の効果か、書類の切れがいいです。弊社は、「10枚で説明しなければいけないところを1枚で見せる」、「一時間かかる説明を10分で済ませる」をモットーにしてます。


もちろん、文字級数下げて詰め込みの一枚、舌を巻き上げて早口の10分ではなく。(いくらなんでも当然ですよね・・・笑)


なぜなら、個人事務所の存在意義はそこにあるからです。


そう大見得を切る以上は、その一枚やら10分に己を託せるだけの思案がこもってなければお話にならないのですが、さて、それだけの質になっていたかどうか・・・。


ブランド戦略の構築やマーケティング・マニュアルの策定など、項目立ては寸分たがわずオーダー通りでも、「ほほー」「なるほど」といった相手の期待を超えたSomething Deepがなければ、あえて弊社を選んだ方への回答にはなっていないと思っています。


さっそくながら、納得感のある仕事のお陰で、書くための時間は少なくても、やはりそこに至る無駄な時間は大切なのだと実感しています。


大いなる空白が、一枚の白い紙をゴージャスにしてくれるのかも知れません。


04月07日

昨日は、富山県にあるクライアントの工場で新人研修の講師をしました。毎年一回お邪魔してます


いつものオススメ店で夕食となり、地元の白えびなどを堪能してたら、いつの間にかお店の人からのマーケティング相談になってしまいました。(笑)お役に立てて何よりです。


■椅子


こういう職種ですので、工場などは所有することはありません。
でも、机と椅子はそれに代わるものだと思ってます。


工場の建物が机で、床面が椅子です。工場にとって足元はとても重要で、変な勾配があると、生産ラインも変なくせがついてしまい、特定のパーツだけが磨耗するなど、長い間に不具合がでてきます。


コンサルタントなどの内勤重視者は腰を大切にしなければいけません。多くの方々が腰痛を患っています。この点は、何人かから注意するようアドバイスをもらってました。


固定費をできるだけかけない、というのが基本方針ですが、こと椅子だけは例外です。メイン・オフィスには三つの椅子があります。(打ち合わせ用とは別)


・デンマーク製の膝を曲げて脛で支える姿勢の椅子
・ノルウェー製のオットマン付のリクライニング・チェア
・日本製の油圧で傾く、背もたれが高く肘掛のあるエグゼクティブ・チェア


どれも腰掛ける位置が違うので、常に、一定の座り方にならないようにと考えてのことです。
価格的にはちょっと無理して購入したものですが、その分、品質には納得してます。


ちなみに机は、知り合いを通じてITバブル崩壊時に解散した会社からいただきました。社長が使っていたとのことです。それも、メインオフィス用だけでなくサテライトオフィス用も・・・、つまり、潰れてしまった2社からの頂き物です。立派な上に、「形に金をかけるなよ」という無言の戒め付です。


工場投資に関しても「選択と集中」の実践ってことでしょうか。


04月03日

マーケティング・コンサルタントとして実際に一歩を踏み出したのは、最初の著作が出た時点でしたから、それからちょうど5年目になります。


資格、許認可なしの職種で、参入障壁ゼロな業界です。誰も面と向かって言いませんが、怪しい職業です。(言うとシャレにならないからでしょうかね)


ですから、こうやって明日もこの仕事を続けようと思えるのは、多くの方々の助けがあってのことと深く感謝いたします。忙しいと、こういった背景も地球創世記からそう定まっていたように錯覚してしまうことがあるので、節目節目に今までの道程を反芻することは大切な礼儀です。


■目指す世界観のネタ本


マーケティングの成功には3つの領域が必要です。それは「経験」と「論理」と「直感」です。


ヤスハラ・マーケティング・オフィスは個人の「直感」と組織の「経験」をマーケティングの「論理」で融合させることを目指しています。


上記が、会社のビジョンですが、ここに出てくる3要素は古今東西普遍的なものです。


ネタ本その①
ケン・ウィルバーという思想家(今も活動中)がここに関して、深く述べています。


「万物の歴史」(春秋社)


ネタ本その②
禅学者の鈴木大拙でも、論理の重要性と限界について明確に述べられています。
そして、実は、ケン・ウィルバーもこの鈴木大拙から影響をうけているのです。


「禅とは何か」(角川文庫)


また、この機会に読み直そうと思ってます。

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