ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

04月26日

本日で仕事が一区切りし、明日木曜日には二週間ぶりの内勤日が取れます。
「急ぐべき大切なこと」に追われ、近況報告も一週間空きという体たらくでした。


ゴールデンウイークは完全な休養となりそうです。
「急がないけど大切なこと」に集中したいと思っています。

04月19日

今週はデプス・インタビュー立会い三昧です。
モデレーターの方が優秀なので、深堀の方も順調です・・・というよりも、企業側の盲点に視界を与えることを狙いとしてますので、「気づき」が多いセッションとなっている、そう表現すべきでしょうか。


■情報ソースの区分け
一次・二次の根源にある零次情報の存在について


一般的なケティングの本には情報を一次情報、二次情報に分けています。しかし、実はもっと重要な情報として零次(ゼロジ)情報があります。
零次情報は、ある人が体感できる範囲の情報を意味します。


零次情報:体感ベースの情報。例えば、ある消費者に直接、いろんなことを尋ね、インターラクティブに取材するなどです。つまり、時間・空間を相手と共有したの中での経験


一次情報:自分(自社)で調査を設計し、自分(自社)なりの視点でまとめられた情報。文字化、数字化されたものを共有する経験


二次情報:第三者が調査設計し、第三者なりの視点でまとめられた情報。文字化、記号化されただけでなく、そこから解釈されたものを知る経験


当然ながら、零次情報は生生さが違います。しかし、一人の人が生活の中で体験できる情報には限りがあるために、一次,二次情報によって世界がどうなっているかを捉える必要があります。
優秀なマーケティング担当者はこのバランスに留意します。
零次情報に常に触れる習慣を持っていることで、一次情報も瞬時に根底に流れる意味に行き着けますし、二次情報といえども自分なりの解釈で読み取れるようになります。
あっさり言い切ってしまうと、お客さんを見る目を養っておけば、文字や数字のデータからでも人物が浮き上がってくるということです。


もう少し詳しく見ると、0.5次情報、1.5次情報も存在することがわかります。
デプス・インタビューのケースで表してみます。


0.0次情報:ある消費者に会って、話を聞く。その行動を観察する。(自ら直接、デプスインタビューを行うような状態という意味)
    ↓
0.5次情報:デプス・インタビュー、グループ・インタビューに臨席し、被験者の言い回し、表情を見ながら話を聞く。
(質問、被験者がコントロールされている分、零次より0.5次分、加工された情報という意味)
    ↓
1.0次情報:デプス・インタビュー、グループ・インタビューの発言録を見る。定量調査のローデータ(生数字)を見る。
    ↓
1.5次情報:デプス・インタビュー、グループ・インタビューの結果を、リサーチャーやコンサルタントのレポートやプレゼンで知る。
(一次情報を第三者の視点から解釈して知る情報のために、通常の一次情報より0.5次分加工された情報という意味)


大企業に存在するマーケティング部門が機能しているかどうかも、この零次情報への態度で見分けられたりします。
やばそうなマーケティング部門では、こういった零次情報に近づこうとする努力を怠り、一次情報、二次情報で済まそうという兆候があります。なぜなら、お金があれば誰かがきれいなレポートにまとめてくれて、数行のフレーズに咀嚼してくれるからです。


特に、マーケティング部門の管理職が、定性調査に立ち会う時間を惜しみ、部下に社内の会議を優先させるようになったら、そのマーケティングという組織は名ばかりと言えます。
マーケティング部門は消費者のことをより身近で感じ、語れるためのフィールドでなければ存在価値はありません。販売に詳しいだけなら営業部門で十分ですし、生産に通じているなら工場部門で事足りるでしょう。


ですから、マーケティング・コンサルタントとして率先して現場に立ち会います。その姿勢をクライアントのマーケターに見える形で伝えることがコンサルティングだと信じているからです。
ちと偉そうですが、縦に大きく、そうなのです。

04月16日

初めてつくばエクスプレスに乗りました。
マーケティングの講師として研修会場のある守谷(もりや)という場所へ行くためです。この辺りは研修会場の集積地だそうです。


さて、通称TXはあの秋葉原を始発駅にしていますが、この秋葉原、無茶苦茶変貌しましたね。
確かに、以前の秋葉原は「オタ街だからって、もう少し、きれいにすればいいのに・・・」と思わせる猥雑さがアイデンティティでしたし、映画ブレードランナーの舞台モデルとも言われる愛すべきゴチャゴチャ世界でもありました。


いつでも我々の驚きはギャップの幅次第なので、何もない場所に立派な建物が出来ても、ほおー、という感嘆が上限です。しかし秋葉原・・・、いやいや、街も変わろうと思えばここまで変われるんだなあという畏敬の疼きを感じました。スゴスギです。
そのきっかけになったのがこのつくばエクスプレスであることは間違いないでしょう。
これまた凄い電車です。デンシャという表記がその凄さに付いていけてないきらいがありますが、茨城あたりに入ると、もう存在そのものが浮きまくっています。


ついでに驚いたのは、朝の登り電車の混み具合です。すれ違う車両はほとんど満員で、通過する駅は会社勤めの人たちで埋まっています。常磐線の混雑緩和が目的というのは嘘ではないのですね。


日本はその歴史から見て、文化の中心が東&北に向かう傾向があるようです。そして、この法則に外れると乱世になるという・・・、平清盛の京都から福原(神戸)遷都、足利尊氏の鎌倉から京都への室町幕府、豊臣秀吉の安土から桃山へなど。
東京から見たつくばは今後の日本の文化の中心地がにじり寄るべき方角なのかもしれません。ちなみに、丑寅(うしとら)を鬼門(きもん:東北の方角)とする風習が続いている本心は、既成文化に染まった人々が本能的に恐れているからこそなのでしょうか?


初めてのつくばエクスプレスには、そんな思念が託されていると妄想してしまうパワーがありました。
ただ、ラッシュアワーが文化的かどうかについてはコメントを差し控えておきます(苦笑)。

04月11日

雨の火曜日です。


本日はEコマースのクライアント先で、人事コンサルとの打合せ、映像ディレクターとの打合せ、PRコンサルとの打合せと、三連で入れ替わり立ち代りプロの知見と腕前を拝観させていただきました。
なぜにマーケティング・コンサルが・・・・と、お思いでしょうが、ブランド価値を上げるために総力戦を前提にプランニングしているからです。
バックヤードでの付加価値を生み出すブラックボックス構築や、リアルでの情報発信からの誘引など、自社サイトを核として徹底します。


おまけに、来週からは、リピーター、トライアラー、サイト認知非トライアラーへのデプス・インタビューが既に組まれています。
実は、意外とEコマースでは購入履歴データの解析で安心してしまうことがあり、ビジネスの脇が甘くなりやすいことを危惧しています。今回は、それを防ぐ役割もあるのです。
土曜もこの調査に立会わねばならん身なのですが、この眼で顧客像を写し取る貴重な機会であれば、避ける言い訳は許されません。


人の脇の甘さを指差す時ほど、己の脇は大いに緩んでいるものです。

04月06日

4月になると新人研修案件が増えます。
完全な新人向けの社内コーポレートブランド・セミナー、マーケティング部門への新任配属者向けのマーケティング実務セミナーなどです。
※変わったところでは、営業管理職向けのマーケティング実務理解セミナー。うーん、さすがに会社の余裕を感じさせますね。


■クロスメディアの扱い
消耗消費財系ですとプロモーションに関するウエイトも高いため、コミュニケーションに関する時間も増やします。WEBの活用も最新のものを組み込みます。
今回はクロスメディアの項目を入れました。
正直なところメディア・ミックスとどう違うんだ!と言われると困るのですが、世間での用語にあらがう気はないので、まあ、これで行きます。
WEBにコミュニケーションに重心を持ってくる場合をケース化してます。


関与度と自社サイトでのコミュニケーション強化ポイント


1:カテゴリー関与度が高い場合(マンションなど高価格品での新製品)
→HPサイトへの誘引は商品認知中心


2:カテゴリー関与度が低い場合(日用品などでの新製品)
→商品特性による関与度アップ
→HPサイトへの誘引は商品特性理解中心


3:商品特性での関与度が低い場合(フォロワー新商品、既存品育成など)
→プロモーション・アイデアによる関与度アップ
→HPサイトへの誘引はプロモーション特性理解中心


4:プロモーション特性での関与度が低い場合(アイデア不足?、費用不足?)
→プライシング・アイデアによる関与度アップ
→HPサイトへの誘引はディスカウント・プログラム理解中心
※ここまでしてHPサイトを使うべきかどうかは別です・・・・笑


ということで、クロス・メディアを誘引メディアと検索メディアに区分けして説明しようと思っています。

04月03日

秋田のクライアントから新しい純米酒をいただき、名残桜(なごりざくら)を惜しむという大儀の元に、日も高い中、一番気に入っている鼠志野(ねずみしの)のお猪口で堪能させていただきました。


コンサルしていてなんですが、清酒は苦手な酒でした・・・(まあ、先方にもばれてますので・・・笑)
しかし、一口飲んでは追い水(チェイサーですね)で口を清める要領を覚えてから、変な酔い方、二日酔いがなくなりました!
おまけに、アルコールが舌を麻痺させるのを防ぎ、いい酒ほどじっくりと楽しめて一石二鳥です。


清酒は昭和40年代をピークにその消費量が減り続けている厳しいカテゴリーです。これから日本酒が海外で売れるようにと祈っている身としては、地元の人(日本人という意味です)に愛されてこその輸出だと思っていますので、悲しい話ではあります。


今回いただいた酒は、昨年、新製品として導入のお手伝いしただけでなく、その味も個性的で評判がいいものです。まあ、素直に嬉しいですね。
その中身はキモト造りの純米酒で、酸味が先立ち、その後に、ほんのり甘い旨みがやってくるという素人でも特徴の分かる濃醇な味わいです。


清酒にも味の変遷があり、これからは濃醇甘口(のうじゅん・うまくち)へシフトするのではと言われています。


【清酒の味:略史】(人伝えなので、あくまでも、大まかな流れです)


・昭和の中期: 清酒のピーク。濃醇甘口が良いとされた時期です。高度成長の中、ブルーカラーの人々が仕事の終わりに糖分摂取も兼ねていたために、甘めが受けた時代と思われる。
ロール・モデル:星一徹氏


・昭和の後期から最近まで: 淡麗辛口にシフト。ホワイトカラー全盛になり、クーラーも普及し、汗のかき方が総じて減ったためと思われる。
ロール・モデル:島耕作氏


・今:  濃醇系にまたまたシフト。これは焼酎ブームの影響で、淡麗辛口が清酒の専売特許ではなくなり、むしろ、清酒が従の関係になれば明確な味が欲しくなるからと思われる。但し、量ではなく質に向かっているので、古きよき昭和の再現ではありません。
ロール・モデル:?


ということで、清酒の味も生活環境に大きく左右されるというお話です。
もちろん、個々の商品が売れるかどうかは別の話ですけどね。

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