ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

03月04日

2月は旅が仕事の山谷でした。


名古屋、大阪、岡山、秋田、盛岡、加古川(最後が渋いですね)とコンサルティングやセミナーの日々が続き、出会いと発見と疲労が順をなしたり、重なったり。必然、仕事に「旅らしさ」を与えてくれるのは食事と相成ります。でも、ほとんどが即日移動だったので、ゆっくりと地元でしか所望できないものに行き着く時間がありません。


その中で唯一、秀逸にしてレアだったものが秋田の地元でも評判店の「比内地鶏の親子丼」でした。


「爪楊枝を数本刺しても黄身が崩れない(主人談そのまま)」比内地鶏の卵と、肉は腿だけを大振りに使い、皮側はほんのりあぶりを入れて香ばしさを出しています。一口目でいったん箸を置くのは不味い時に限るのに、旨いものでも起きるとは・・・・。


よく考えると、椀の底を埋めるシャリは秋田の米で、それを秋田の水で炊き込んであれば、舌も逃げ場がないわけで、長年、「こんなもんだろう」と覚えてきた親子丼の味覚もあっさり白旗を揚げたのでした。


最近の騒動もいつかこの地にまで及んでしまうのでしょうか。


■「いいもの」問わず語り


よく語られる話として、「こんなにいいものを作っているのに売れない」という企業の嘆きに、「いいもの、というだけでは売れませんよ」と接いで、マーケティングの必要性を説く、というのがあります。以前は、「まあ、そうかな」と思って同業の仕事を続けてきましたが、「どうも違う」ということに気が付くに至りました。


その違和感は「いいものを作っているのに・・・」と言う企業の多くは、実はあまり「いいものを作っていない」ということです。これらの会社がたなびかせる「いいもの」は往々にして、業界で最もいい、競合Aよりいい、自社の中ではトップグレード、といった、「ちょっと回りを見渡してみました」程度の高さだったりします。


「いいもの」ではなく、正確には「マシなもの」であると表現せざるを得ないものが多いということです。「だからこそ、マーケティングが必要なのだ!」、という深い解釈には一理あるかもしれませんが。(笑)


さて、一方の本当にいいものを作っている会社は「まだまだ納得のいくものができない」「まだまだ極めてない」といった自戒と求道の言葉が出てきたりします。まさに、マーケティング・コンサルタントに、雲の上にも空が広がっていることを啓示する場面です。


こういった「いいもの」を「いいものと言い切らない」企業ほど「いい顧客」が定着していますし、ブランドなんて今更、講釈する必要もないところまで来ていたりします。マーケティング・コンサルタントには、「それを長く続けるための仕組み作りのみに焦点を当て、作業に従事せよ」、既に未来からそんな指示書が届いています。


「いっぱいいっぱい」さえも不十分とする気持ちこそが、もう、マーケティングにとっては十分だったりするのです。

ページのTOPへ戻る