ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

09月28日

どうも最近、仕事への集中力が弱まっている、いや、モチベーションが緩んできているというのが正しいのでしょうか。これは「忙しい」という理由ではなく、アウトプットに対して、インプットが極端に不足していることに起因していそうです。


ここ3ヶ月は、午前中に本を抱えてカフェで読んでは付箋貼り、メモ書きという沈思黙考活動がほとんどできていません。打ち合わせ件数が増えてきているためで、コンサルティング業務との兼ね合いから、昼前に入れ込むしかないからです。思考することは、脳へ栄養を与えるようなものです。


それも、ビタミンのような自分の体内では補えない必須の栄養素なので、外部から取り込む以外にはないのです。でも、一方で、知り合う人の数がミーティングの量に比例して膨らんでいます。ヒトとの出会いも、同様の理由から、人生のビタミン剤と言われています。


どちらがビタミンAでBなのか、はたまたCかEなのか。脳を思いやってやるか、人生を育んでやるのか・・・・、迷っている暇があれば、四の五の言わず、どっちも追いかけるべきなんでしょうけど。いかんせん、時間不足です。


ということは、結局は「忙しい」がその理由になる・・・、自家撞着。(笑)

09月22日

連休のせいか、時計を見る頻度、先を歩く人を抜く人数、ともに減っているような気がします。
その分、他に眺めるモノや気に止まったモノに近づく余裕も増えてるのではないかと思っています。


花屋の軒先の変わった植物に首をひねったり、レストランの聞いたことのないメニューを恐る恐る頼んだり、きっと、その効果です。効率が悪いと非難されることは、別の世界では効率が良いことと賞賛されるべきことなのかも・・・。


■経済学を煎じ詰める


経済学への昨今の評価は厳しく、役に立たない学問の最右翼になりつつあります。学生時代学んだ身としては寂しい気もしますが、「学んだ人」からは「学んだふりをした人」に同情されたくないはずなので、失礼にならない程度に経済学の意義を考えて見ました。


経済学に関するテーマをとりあえず全部、大きな鍋にドサっと開けて、強火で煮詰めに煮詰めたとすると、実は多くのテーマは移り気な人々の気持ちとともにどこかに蒸発してしまいます。しかし、それでも何とも飛ばしようがないものだけは、そんなすっかり焦げた鍋の底にこびりついたように残ります。


それが「生産性の向上」と「利益の再分配」です。実はこの二つ、似ても似つかない風貌でありながら、生産性は経済の動脈で、再分配が静脈のような背中合わせの関係と言えます。古今東西、この二つのテーマは文明興隆から社会運動に至るまで、かなり普遍性の高いお題です。


ある文献では古代インカ帝国は、トウモロコシの生産性が一人当たり17人分あったと書かれていました。単純に、16人は農業に従事しなくても良くなります。もちろん、水運びや住宅建設などインフラ仕事もあったでしょうが、あの大きな石組みの遺跡を造るにはそれぐらいの生産性がなければ不可能です。 でもそこには、高い生産性から生み出された余剰トウモロコシ再配分の仕組みも必要になります。


資本主義が「生産性向上のために利益の再配分を犠牲にしたシステム」だとするなら、共産主義は「利益の再配分を重視したために生産性向上を犠牲にしたシステム」ということになります。どちらもバランスを崩した欠陥品と分かっていながら、折り合いのついた重心を見つけられずに、今日も一日が過ぎます。


アメリカのスタイルが勝ち残ったように見える世界にいますが、我々はちょっとしたタイムラグにいて、実際はソビエトという形式がぱったり逝ってしまったと同じことが、早晩、やって来るのかも知れません。


いずれにせよ、経済学が無力なのではなく、人そのものが無力なのでしょう。マーケティングは、戸籍上はアメリカ出身だけあって、生産性向上のための創意工夫がいっぱい入った思考の枠組みです。それを生業にしていれば、やはり、こうやってふと立ち止まってしまう時も訪れたりもします。


あのインカ帝国も今はもうありません。

09月18日

弊社クライアント2社の事業部長をディープ新橋でお引き合わせしました。


同業界、異業種という近いような遠いような、桂馬を思い起こさせる程好い距離感が何か大きな商品開発につながるのではないか、という双方+弊社の気持ちで臨んだ交流の会です。


意外や、両事業部長は某ビジネススクール卒の同窓生であることも分かり、即、ラポール形成が終了するなど順調な会談と思いきや・・・


話が盛り上がるにつれ、この二社の間を隔てる氷山が軽い商品アイデアでは取り除けないほど、技術的な裏づけ、ビジネス的な俯瞰がマル必であることに行き着き、さてはて、水面下には深い塊がまだまだ横たわっているコラボレーションであることに気がつかされました。


まあ、当然と言えば当然です。
それぞれの社内では苦心惨憺の毎日が、一夜の宴であっさり氷解するというのは虫が良すぎますからね。


ということで、今後は研究所レベルでの情報交換を主にその第一歩を進めることで締め、あとは、ただのビジネスマンとして、ありがちな二次会を、そつのない銀座にて、大団円。

09月17日

昨日は、青山外苑前にて最後の所用


打ち合わせが終わって、どうやってオフィスへ戻るかと考えながら歩いていると、不意に夕陽をさえぎるものがあり、見上げると都バスでした。


目黒行き


停留所の表示に、迷いなく乗り込むことに決めました。
随分久しぶりの都バスです。
外苑西通りに沿って、西麻布や広尾、白金台を抜けます。


歩道側を見下ろせる席から、スイッチオフの脳みそで世間を眺めると、飲食店もちょうどそろそろと開店の準備であり、街の電飾もポツポツ付き始めの様子がガラス越しに映っています。


地下鉄は早いけど車窓は真っ暗で風情なく、タクシーは楽だけど何やら勇んでいて気忙しい。


停留所も赤信号もわけ隔てなく公平に停まるバスの間延びした感じも、帰り道であれば贅沢です。ちょっと車高が高いのも観覧気分を与えてくれます。
目黒駅手前で500m進むのに5分かかるのも、エンディング・サービスのようでした。(笑)


09月14日

昨年比でどのくらい業務内容が変わってきているかについて見てみました。


分析上は・・・・
業務構成比では、コンサルティング、セミナーともに、変わっていない。
ただ、打ち合わせなどのミーティングが3倍に増えている。
クライアント数が1.5倍になっているのにコンサルティング業務構成比が横ばいなのは、クライアント当りの月平均コンサルティング回数は減っているから。


意味は・・・
「まあ、そういわずに月一回は来てよ」というなんとなく継続希望のクライアントが増えている。
特に課題がないけど呼ばれるというのは有難いというべきか?
「ちょっとご相談が」というヨロズ何でも相談ごとも目立って多くなっている。
頼られているのは信頼の証か?


Go with the flow


流れに逆らわずに生きていくのが信条ですが、土に染み込むような水の流れはどうしたものでしょうか。(笑)

09月08日

「アイデア」という響きは、いつも陽気な人気者で、たまに、羽目をはずすことがあってもご愛嬌、といったポジティブな世界の住人という感じがします。


でも、実際の「アイデア」は純然たる無垢なものなので、ポジティブもネガティブも気に留めない、何でもござれを信条にしてます。


発明も芸術も、すべてはアイデアを源泉としてます。しかし、一方で、アイデアは犯罪にも加担し、その被害をいとも簡単に加速・増幅させたりもします。


テロは犯罪アイデアの塊です。


大きな力をかいくぐって、もっとも効果的なネガティブ・インパクトを与えるにはどうしたらいいか? そのためには過去の事例は何の役にも立たず、むしろ、テロを失敗させるものです。


アメリカやロシアのテロは、邪悪なアイデアをこれでもかと織り込むことで、その目的を絶望的なレベルまで引き上げました。


もちろん、テロに限ったことではなく、コンピューターウイルスからオレオレ詐欺まで、やはり、誰かがアイデアを注ぎ込んだ結果なのです。


■アイデアの扱い方


新製品コンセプトは三つの要素で成り立っています。「シーズ=自社の差別化された製法やノウハウなど」「ニーズ=顧客の未充足な欲求。不満から退屈まで」、そして、「アイデア」です。


この三つが揃わないと、どんな新製品コンセプトも問題を引き起こします。


「シーズ不足」のまま、新製品(サービス財なら新サービスです)を作ると、一旦売れてもすぐに真似されて価格競争で疲弊します。「ニーズ不足」、当然、誰もが自分が買う製品と思ってないので、売れません。


この両方は必ず必要ですが、新製品コンセプトにはもうひとつが必要です。それがアイデアであり、アイデアが遠く離れ離れになっているシーズとニーズを結び付けます。このシーズとニーズの混ざり具合がこなれた製品アイデアほど優良なアイデアと言えます。


ですから、新製品コンセプトは三つの方向から開発できます。


1:シーズ・ルート=この技術を生かして何かいい製品はできないものか?、というアプローチ
2:ニーズ・ルート=この顧客の問題をどうしたら解決できるか?、というアプローチ
3:アイデア・ルート=この面白い製品アイデアにニーズはあるか?、シーズは用意できるか、というアプローチ


コンサルティングで新製品開発マニュアルを作成する時、(弊社の基本方針として、新製品開発のコンサルティングは、時間的な負荷理由からお受けしません。ただし、例外多数・・・苦笑)にはそれぞれどのように進めるか、新製品コンセプト策定のフローをクライアントの組織風土や仕組みに合った形で提供します。


この中でもっと取り扱いが厄介で、かつ、ビッグ・ビジネスを創ってくれるルートがアイデア・ルートです。なぜ、悩ましいかと言うと、アイデアはその力の発揮が360度全方位なために、何でもありの状態では、陸に上がった宝船やら海の底の砂金やら、いいものなのかどうなのかが見えません。


つまり、顧客のニーズは存在するか、自社のシーズ開発は可能かという検証可能なところまで具体的なものでないと新製品アイデアは役に立たないのです。


むしろ、アイデア自身というより、アイデアをどう表現するかが新製品開発にとっては重要なのです。「アイデア発想能力」と「アイデア表現能力」は新しいものを創る人々の両手にして両足と言えます。

09月05日

休日にもかかわらず原稿書きです。正確には休日だからこそ、原稿書きでしょうか。


9月は筆仕事に身を取られますが、それもまた良しの月になりそうです。
いついつまでに、なになにを、という生活ですと、自分の波長を世の24時間刻みの譜面に合わせてチューニングしなければいけません。物書きは幾分、そこから遠いいところが気を和らげます。


大げさを承知で表現すると、己の鼓動、世間のリズム、双方がどこかで共鳴したらなら、そこが仕事の起承転結の節になる、そんな日々が理想です。


せっかくの個人事務所なら、大きな会社にないビジネス・スタイルが尚更、欲しいですよね。


ハイリスク・ハイリターンではなく、ノーチューニング・ハイレゾナンス

09月01日

昨日は名古屋出張でした。
あるクライアントの定期的な社内マーケティング研修だったのですが、台風の影響で「もしかしたら中止になるかもしれない」という連絡をその直前にもらっていました。


セミナーなどは時間厳守前提のため、「中止になるかも」が起点になって、「この強い風では明日は新幹線は止まるかも」→「止まらなくても、大幅な遅れで混乱するかも」→「いづれにせよ間に合わないから中止になる」と、最近の忙しさからの逃避願望からか、熱望が妄想を生んで、妄想が予想に成長してしまったようです。


既に「今日はお休みモード」だったので、まさかの当日ピーカンは精神的ダメージが大きく、モチベーションを戻すのにえらく苦労しました。(笑)


■名古屋とご縁


生きていると意図してなくても、まるで意図したかのような振る舞いに出会います。人はそれを「ご縁」と呼ぶわけですが、人だけに限った話ではありません。


場所にもそれがあり、仕事のご縁として不思議と多いのが名古屋です。社会人駆け出しの時に、営業マンとして着任したのも名古屋でした。コンサルタント開業から最初に来た本格的なブランド・マニュアル作成の依頼も名古屋からでした。


お客様への頭の下げ方から、ブランド・マニュアル作成の実践ノウハウまでを体に刻み込させてもらったのです。丁稚から番頭までここぞという時の奉公先が彼の地であっという事実は、特に、その土地でなければいけない必然さがない以上、やはり名古屋にご縁があるとしか言いようがないのです。


今は、これに加えてご当地の景気の良さが加担してか、名古屋に最低でも月三日は通っている状態です。


言い辛いのですが、名古屋がそれほど好きという訳ではありません。もちろん、嫌う理由もありません。(確かに、東京とどう違うかも怪しいぐらいの都会ですし)


現地へ行っても、ミソカツもアンカケ・スパゲッティも天むすも小倉トーストとも一線を引いた飲食行動でして、これほどお呼びのかかる恩義を得ていながら、それだけの厚情に応えてない、そんな申し訳なさも感じるくらいです。


とはいえ、せめて何かでお返しをと思い、Jリーグとプロ野球では名古屋のチームを応援するようにしています。でも、ニュースで勝ち負けを確認する程度の限りなく目盛りゼロのサポーター度数ですから、まったく役に立っていませんね(笑)。

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