ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

02月24日

火水木-外勤、月金-内勤という理想型で過しております。体調も回復です!


◆コスト・プッシュ・インフレ


複数のクライアントから昨今の諸々の原料高について話を聞きました。今までは新興国での原料関連の需要増というデマンド・プル・インフレでしたが、今度は中東での動きが原油の高騰を生むというにコスト・プッシュ・インフレです。これはスタグフレーションとなるのか?元々、景気停滞中の日本はもっと深刻かな・・・。


昔、原油価格高騰は経済的なインパクトとして「オイル・ショック」と呼ばれました。今回は根の深さが違います。PESTで言えば、技術の変化(Technology)→社会の変化(Society)→政治の変化(Politics)と来て、次は経済(Economics)という様相です。「オール・ショック」かも知れませんね。シャレになってないですなぁ。


◆B2BとSNS


生産財や中間財といったものを扱う会社からのマーケティング業務が増えてきております。従来、「ウチの業界にはマーケティングは不要だから」と接点すらなかった業種でさえ前言撤回になりつつあります。


これはSNSに代表されるようなメディアをB2B企業も持ち、どのように活用するかが問われる時勢になっているからです。企業間取引は元々は閉鎖的だったのですが、オープンな情報発信が可能になり、ビジネス拡大機会も世界規模で増えてきてます。そして同時に、競争関係も世界規模で加速していることが大きい要因です。


ソーシャル・メディアは生活者に情報ネットワークを提供したと言うのは狭い解釈です。情報発信弱者全体を底上げし、情報発信格差を是正しつつある技術変化です。(ちなみに、情報受信格差の是正は印刷技術からスタートしTVによって一段落しました) そして、B2B企業もこの情報発信弱者だったのです。

02月19日

毎度のことながら、大学での1週間は本業へ影響します。


今週は、コンサルティング案件×2,オープンセミナー×2、合間に打ち合わせとか勉強会などがあり、入れ替わり立ち代わり他種多様な方々とお会いさせていただいております。また、大学から持って帰ってきた試験採点という仕事もあって、かなりクタクタになっております。


■友人関係が人柄の一部なら、企業関係は社柄の一部


その人のことを知りたいのであれば、どんな友人と関係を持っているか、どんな書物を本棚に並べているかを見れば良い、と言われます。


ソーシャルグラフのような単語が一般化し、一人を単体で扱う人物像から、人と人の関係を人物像として扱う方向に移りつつあります。人をコンテンツでなくリンクで見てみようっていう感じのグーグル思想ですね。


コンテンツもリンクも両方あって人柄は成立します。面白い人は面白いと思ってくれる人が多いいからどうも面白い人物らしいと区分けできます。コンテンツ=面白い言動、リンク=面白さ受容という見え方ですね。まあ、「らしさ」とはこのリンク先からのフィードバックの受容で、「私って・・・・な面白さがあるらしい」と再認します。


どの会社にも「らしさ」なるものがあり、人が人柄なれば会社の社柄のようなもの(社風ですな)を感じます。


よく就活で「社風がいい(または悪い)から・・・」などといった表現を見かけます。これも会社社内の言動であるコンテンツだけで判断せず、「どういった会社と協力関係にあるか?」というリンクも同じくらい重視すべきかと思っています。学生には難しいか・・・。


さて、この応用を考えてみましょう。朱に交われば赤くなるが如く、リンクの影響を活用することもできます。社風を変えたい時、社員の習慣を変える啓蒙キャンペーンもコンテンツを直接変えるという意味で大切ですが、同時に、付き合う会社(=リンク)を変えるのもオススメです。


会社をバージョンアップさせたいと思っているのなら、新しい外部の会社との協力関係を意図的に増やしていくことです。不況になると外部との関係は集約の方向にありますが、これは「ウチは貧乏だから友達付き合いも減らそうと思う」という動きであり、貧すれば鈍すに近いのではないでしょうか。


貧しい時こそ、友人知人に広がりを持たせることで、自らの人柄を変えていくきっかけにすることをお勧めします。もちろん、順調な時ならネットワーク拡大は日常業務になってきますから尚更です。


クライアント先にいつも新しい協力会社を紹介するのもコンサルタントの役目と肝に銘じています。よって、いつも世の中にどんな会社やどんな人がいるのか探すようにしています。きっと、これは読書で既知の本を増やすのと同じく、出会いで既知の人を増やす活動でしょう。


ついでながら、自動的に自分にも個人的リンクが新たに張られるわけで、人柄にも影響を与えているはずです。己の「らしさ」は直接わからないのでどう変容してきたかは?ですが、望むべきことであることは確かです。


02月11日

立命館アジア太平洋大学での「消費者行動論」1週間集中講義が終了しました。そして、遂に今年で最後とさせていただくことを決め、大学側に意向をお伝えしました。


正直、辞めるかどうかも迷いました。7年目と思っていたら8年目で、つまり合計8週間、約二ヶ月の間、朝から夕方まで大学にいた事になります。まあ、情も湧くわけです。


しかし、2011年からの時間捻出を掲げ、オープンセミナーも縮小開始となりましたので、やはり、ここは生き様を徹底させていただくという我侭を通させてもらうことにしたのでした。8年はちょうど大学生が在学できる最大年数だそうで、まさに、自分もそろそろ卒業やなと腹を決めたのでした。


この1週間も去年と一昨年受講した生徒と懇親会で過ごし、それ以外にも卒業してから別府にいる数年前受講の人とも交流を持つなど、縁の厚みを感じ入っています。


思い起こせば最初の2003年度は別府での夕飯をずーっと一人で過ごしていましたからね。それがいつの間にか、Facebookでの連絡網もでき、ちょっとしたコミュニティになってます。


また、大学で講師をさせていただいたお陰で、マーケティングを消費者行動の視点で再整理や、実験的なテーマへのチャレンジなど多くの収穫をいただきました。もちろん、個人事務所が大学講師の名前を名刺に入れるのは信用度の点でも貢献大です。


プラスの部分に対してマイナス面は、拘束による時間の制約・マンネリ化による刺激不足などがあり、特に時間は喫緊の課題でした。それら勘案の結果です。


多くの方々にサポートしていただき、8年間を有意義に過ごすことが出来たことを深く感謝し、ここに記させていただきます。ありがとうございます。


別府にて


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【追伸】
試験終了後となる11日夜は受講生との懇親会でした。11名の参加となりました。お土産もいただき、光栄です。また、東京で会いましょう!! 是非、縁を手繰ってください。

02月03日

人に勧められ、久々にSF小説なんぞを読みました。


あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)



短篇集なので、いろいろなテーマで異なる世界が描かれています。今の世界との重なり方が見事ですね。それぞれ考えさせられますが、表題の「あなたの人生の物語」は秀逸です。


「地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく・・・」(引用)のですが、言語の持っている深い意味を提示します。


自分の周りでは、思考言語と共有言語の話がたまに出ます。外国生活が長い人たちや、まさに日本に来た外国籍だった人など、2種類の言語をまたぐことが思考そのものをどのように変化させるかといった類の話題です。


英語は世界の共通言語と言えます。これはコンテンツ共有、つまり意味を伝え、分かり合うことに役立ちます。人数的に多いという量的な貢献からです。(絶対数は中国語なのだろうけど) 


一方で、意味を創る時に使うのは我々が慣れ親しんだ母国語です。これが思考言語として区分できます。


思考を英語でするのか日本語でするのかの違いは質的な影響を与えます。自分にとってですが、英語は思考をよりシンプルにしながら世界を切り取っていくことを志向した感じがします。一方で日本語は思考にニュアンスを与えながら、世界を受け入れていく感覚に囚われます。


冒頭の「あなたの人生の物語」では主人公が異星人の言語を習得することで全く新しい視界を持つストーリーとなっており、グローバリゼーションにおける言語の意味を炙り出そうとしているようにも読めます。


言語学や脳科学なことはさておき、どうも言えそうなのは思考言語、例えば日本人であれば日本語、の深さが世界的な視点でのユニークさを支えそうだということです。


まあ、あっさり言えば、変わった言語で考えると変わった発想ができるよってことですね。もしそうでないなら、まだ変わった言語を上手く使えてないということかも知れません。

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