ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

02月27日

【第60回マーケティング・ワークショップ研究会のご報告】


本日、土曜セッションが実施されました。
東京・渋谷は雨がパラつくお天気でした。参加者は10名。有難うございます。


今回のテーマは最近話題の本「フリー(Free)」をワークショップ形式でグループワークすることです。未読の本、もっと積極的に(?)言うと持ってない本を体験することで、「読んだ」をすっ飛ばして「使える」にしてしまおう!という狙いがあります。


読んだことがなくても参加さえすればOK、そして、終了時は「読んだ以上に使える状態になる」がこのセッションでのゴールなのです。従って、手ぶらでの受講でも大丈夫にするにはどうすればいいか?、を考えて構成した内容しています。


もちろん、実質は公開実験させていただいてる訳ですけどね(笑)。



10名の書籍所有率8名、つまり、80%購入+20%未購入です。また、読破状況は「読んだ」×2名、「ほぼ読んだ」×1名、「半分ぐらい読んだ」×2名、「少し読んだ」×3名、「全く読んでない」×2名となっています。この自己申請ベースの精読度合いを参考にグループを2分し、本書に関する総知識量を揃えてみての実施としました。


「フリー」は350ページもある分厚い本ですが、使いどころは限られてます。バッサリ言わせていただくと、最初の50P(第一章、第二章)と最後の50P(第16章、巻末資料)があれば充分なのです。あとは教養用として「読む」のをオススメしますね。


書籍ではフリー・モデルを4種類に区分しており、営利モデルはこの中の3種類となっています。これを受けて、現実にメンバーが関与しているビジネスに3種類の適用アイデアを出し、その後、グループ討議でブラッシュアップして発表する段取りになっています。


学生に無料でレンタカーを貸すビジネス、化粧品で肌の無料診断をするビジネスなどをベースに3種類それぞれの展開案を出しあってもらいました。使ってみると分かるのですが、無料サービスで作る収益には短期的収益期待と長期的収益期待の2タイプがあるので(本には書かれてない部分です)、この辺りも考えると深みが出ますね。


で、いつの間にか「ああ、フリーね。あれってさ、こんなところが勘所の話だよねぇ」と誰かに目線気持ち上からで語れるようになっている(はず)のでした(笑)。あくまで気分としてですが。


ということで、なかなか充実したセッションなので平日セッションではVer.2として実施してみます。

02月23日

やっと今週になって業務が通常のリズムに戻ってきました。ちょっと一息です。物事を深く考える時間も少しだけ確保出来そうです。


■飽食と飽知
あまり流行りものを追いかけないたちなので、結構、知らないことが多く有ります。マーケティング・コンサルタントにあるまじき態度と指摘されそうですが、10年もこの調子で生きてこられたところを見ると、あまり重要ではないのかも知れません(笑)。


昨今の情報量の多さというか、過剰さというべき状況では、ちょっと追いかけたところで息切れするのは見えてますので、すっかり諦めてます。むしろ、人が追いかけている姿を眺めながら、なぜそういう欲求が起こるのかなあ、などと思索したりしています。


そして、情報化時代も行き過ぎると飽食時代と同様に知の阻害が起きるのではないかと一考したりもしています。


飽食化社会→刺激的な食品→食欲過剰を喚起→食べ過ぎ→太り過ぎ→メタボ
情報化社会→刺激的な情報→関心過剰を喚起→知り過ぎ→考え過ぎ→ストレス


栄養も取りすぎると血行が悪くなるように、情報の摂取過多で知の流れも滞っていく、そんなイメージでしょうか。メタボには運動が良いので、情報のとり過ぎには脳のエクササイズが肝要と推察されます。よって、空いた時間を脳動に割くようにします。


まあ、ノートに考え事を書いては整理してみるだけなんですけどね(笑)。


02月18日

1週間を大学で過ごした反動で、業務ラッシュになっております。並行して、試験答案の採点、成績表作成をせねばなりません。ちと大変ですが、これこそ鍛錬と信じて、邁進いたします。


【第59回マーケティング・ワークショップ研究会のご報告】


平日セッションが16日に実施されました。今回は、ゲストに俊英リサーチャーの兼子良久さん迎え、「PSMによる価格モデルの精度アップのためにはどのようなアンケート内容にすればよいか?」を実施しました。平日としては久々の10名、二桁です! 人気が高いテーマだったようです。


実際、PSMは消費者の参照価格の幅を類推する時に利用します。これの利点は定量調査などでの追加質問項目が少なくて済むところです。このセションではPSMの背景、意図、欠点を紹介してもらい、新たなアンケートのみによる価格設定の調査モデルをグループワークしました。


PSMの問題よりも、測られる側のコンセプト素材が重要で、それがぶれると結果もぶれます。まずは、前提条件の問題が指摘され、改善案がでてきました。また、カテゴリー関与度・新商品コンセプトの利用意向という2視点を組み込むなどもポイントです。


いづれにせよ、新しい価値による新しい価格帯を求める場合は既存の消費者がもつ内的参照価格から類推するのは不可能です。こういったケースでは、情報感度+利用意向+理想消費が見込まれるユーザーを仮定し、上限価格をどこまで引き上げられるかをテーマに調査すべきだと考えます。


スキル度の高い実務ワークショップとなりました。ご参加の皆様、テーマ提供の兼子さんには御礼申し上げます。有難うございます!


■次回の予告


さて、次回は<本をワークショップでいきなり利用できるようにする>という新シリーズ第一弾を予定しています。これは、マーケティング関連の書籍の核心部分をワークショップのメニューにしてしまい、グループワークで習得してしまおう、というものです。初回となる今回の本は最近話題の「FREE」です。


実は以前、セミナー運営会社から「ブルーオーシャン戦略の本をセミナーにできるか?」というリクエストを受け、章立てごとにワークショップにし、社内研修を実施したことがあります。結構、高評価していただきましたね、もう昔だけど。


当該企業で10回(2日間パックで約20日)ほどやったので、たぶん、この本に関しての実務適用ポイントに付いてはかなり詳しい人物となったのではと思っています。(でも、自社メニューにはしていません。人の知識体系そのままを受けてはこちらの存在意味・成長機会が無いからですね)


選ぶ本によっては読書会をするより有益なものもあるのではと思ってましたので、「FREE」をネタとして実施してみる予定です。


次回は2月27日土曜日です。よろしくお願いいたします。

02月14日

旅より帰って参りました。


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着流し教務放浪記


■2月8日 月曜日
大分の別府に来た。しがない着流しが大学にて一週間の授業を受け持つ2月である。


消費者行動論なるものを諭す。否、議す。その仕組みは簡素の一言である。彼らの日々の買い物を客観化し、何やら法則性のようなものはないか、あーだこーだと語りつくす日々にするだけのことなのだ。


履修生55名で、実施が40名前後となる。ここでは20%落ちが目安のようだ。グループでの討議が中心で、その構成単位は7名を理想としている。意見が多様化しながらも、収束に負荷がかからないからだ。一方、5グループ以内が有難い総班数である。同じテーマの発表を聞き続けるのに何とか集中が続く上限とみている。いい感じと言えよう。


定時に勤務をあがる。すると、季節外れな暖かい冬の夜、人気まばらな別府の繁華街で宴が催される。昨年の懇親会に参加した有志たち5名との再会だ。「うさぎととら」にて酒盛りとなる。具材が鉄鍋に山盛りの韓国式モツ鍋が美味い。淡々と語り合うはずが、濃々とはしゃぎ合うこととなる。メンバーがコユイ(キャラが立ち過ぎる)からか、それとも人数がグループ・ワークに最適だったのだろうか。結局、しがない講師が帰宿するのは夜も濃い12時を回った頃だった。


■2月9日 火曜日
二日目となった。


今日は、消費者行動モデルをテーマにグループワークで討議が続く日だ。
毎回、お題が出てはグループになって謎に近づくのである。ベストな回答、または、有意義な回答、または、ひたすら面白い回答にはポイントが進呈される。そして、これが集計された点数、かつ、出席状況、かつ、試験結果で成績が謹呈されるのだ。


夜はさかえ寿司にて一年ぶりのご挨拶を大将にする。相変わらずの大振りな握りに迫力がある。ビールも飲まず、食事のみで失礼する。その後は抱えている仕事に向かう。この教務週間の影響で来週は仕事が集中しているからだ。元気なうちに少しでも考え抜いておかねばならない。


■2月10日 水曜日
消費者調査の視点で消費者行動を語る日だ。


消費者行動を記号に置き換えることの意味を知ってもらうのである。言葉と数字を駆使して客観化することの可能性と限界を体感するのだ。ライブで行うフォーカスインタビューも行う。テーマは「大学生のファーストフードの利用実態」とする。ヘビー・ミドル・ライト・ノンの四区分に生徒を分けて、インタビューだ。単なるファーストフードが好き・嫌いではなく、生活での特異点を探るのである。


対象者以外は全員がヒアリングする立場で、適時、質問をしていく。大学生活での人間関係の違いが浮かび上がってきて、興味深い。広く浅い交友関係の人は誰もが反対しない最大公約数的な外食先を選ぶ傾向があるのだった。


■2月11日 木曜日
もっとも疲れが出るラス前である。生徒側も同様なので、切り口の異なるお題で刺激を与える。


ライフ・コースと消費行動の変化をグループワークで探求だ。ほぼ男女半々なのを受けて、男性グループ×2、女性グループ×2にする。自分の性別を前提にライフ・コースのマップを作るのである。大学生である自分たちを20歳とし、寿命を80歳とする。その間をいろいろな線とライフ・ステージという中継点でつなげていく。


ライフ・コースは女性の生き方の多様性が焦点なので、男女チーム差がモロに出る。女性のグループが複雑多岐な未来に苦悩するのは当然だが、その分、考えも深くなる。


60年の人生か。これで見ると自分はその半分の30年だ。これからを考えると長さが羨ましくも思える。だが、今までを省みれば長さが面倒くさくも感じる。救いなのは、誰も計画通りには生きられないことだ。女性グループが「自己投資:他者投資」という新しい視点で女性の人生スゴロクを作成する。面白いので、ポイントを進呈した。


夜は再び消費者行動論OBたちとの懇親会だ。翌日の大型飲み会を予想し、本日はノンアルコール食事会とする。焼肉「平壌園」でエネルギー補給を行う。絶品キムチでご飯が進むのだった。


■2月12日 金曜日
最終日である。ホテルの温泉に浸かってからの出仕とは手馴れたものだ。湯船が貸し切りなのは吉兆か。


最終授業となる4限目は試験である。持ち込み何でも可だ。問題は至極簡単なので書き手は知恵を絞らねばオリジナリティが出てこない。独自の視点がない答案には手厳しいので、回答側の難度は高いだろう。


夜は恒例、受講生との懇親会だ。


12名の参加者でスタートとなる。入れ替わり立ち代り、おまけに店替わりで3次会まで催される。1次会は留学生4名(中国3名、韓国1名)を含む12名→2次会は12名―5名+3名=10名→3次会は10名―3名+3名=10名となる(だったような記憶)。留学生も最後の会では2名(メキシコ1名、ハンガリー1名)となっていた。一体何が起こったのか(笑)。


さて、3次会の場所はAPU卒業生で拙講義のOB石田さんが経営するバーミューとなる。実は、2次会をそこでしようとしたら満席で入れなかったのだ。彼は既に二軒目も近隣に出店している。流石だ。授業が役に立ったのか(笑)。


気がつけば3時だ。翌土曜日、強烈な眠気と闘いながらの旅支度は辛いが、それもまた吉。


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着流し放浪もこれでおしまい。かなり疲れましたが、かなり良い旅でした。
関係各位の皆々様には深く感謝申し上げます。

02月05日

◆連続して起こること
昔お世話になったクライアントの方々から連絡をいただくことが集中しています。弊社も10年の長さですから、多くのクライアントとのお付き合いをさせていただきました。マーケティング・コンサルは案件ベースが基本なので、これに比例するようにご無沙汰している会社さんも多数となります。


今週は、過去一緒に仕事をさせていただいたクライアント・メンバーの方から便りをいくつかいただきました。4社4名ですから、ちょっと奇遇を感じます。こういったコンタクトが嬉しいのは、自分が先方に残した足跡を間接的にも評価してもらっている感じがするからでしょう。ご縁を手繰っていただき光栄です!


◆連続して行っていること
主宰しているマーケティング・ワークショップ研究会の第二ステージについてヒアリングを行っています。参加頻度の高いメンバーへのデプス・インタビューみたいなものをしています。


かなり散らかっていた展開案も徐々に収斂してきました。楽して大きくして勝手に盛り上がる研究会をゴールにしよう!、ってな妄想であったことが判りました。猛省しております(笑)。やっぱ、地味にコツコツ自助努力を怠らず邁進してまいります。


よくよく考えると、この研究会のお陰で実験的なテーマも事前検証できるので、本番のセミナーや研修にスムーズに導入できること、それと、月に二回も練習できるせいか、ファシリテーションの筋力が維持できる実感があることなど、メリットもいっぱいもらっているんですね。有難いことです。


◆連続して行わねばならないこと
今年も立命館アジア太平洋大学(APU)で講師を務めて参ります。一週間を3コマ×5日の集中講座です。大分県別府という温泉地に逗留できる(!)、そして、地の食材を堪能できる(!)といった低いレベル欲求を満たしてくれますが、それにも増して、現在の大学生の実態(?)に首を突っ込む機会も貴重な体験として感謝しております。


この講座も受け持ってからかれこれ6年目じゃないかと思います。いつの間にか長いお付き合いとなりましたねえ。昨今は授業を受けたOBから連絡をもらったりすることもあるので、数を重ねるとそれなりの楽しさもあるものだ、などと思っております。


授業はワークショップ中心に回します。社会人と比較して意外な(珍妙なものを含む)回答に唸る場面が多いのも大学生ならではでしょうか。

02月01日

1月も終わりました。今年から外勤日の業務を減らしてスタートしましたが、かなり快適です。深く考える快活さは思索の絶対時間に比例するようで、アウトプットにも良い感じが垣間見えます。


さりながら、スケジュール調整が難しくなってきているのも事実ですが、当分の間、このスタイルに固執してみます。関係各位の皆々様にはマーケティング品質を持ってお返しする所存ですので、何卒、ご理解のほど、よろしくお願いいたします!


■新たな食文化
昨日は近所のB級にして人気の串揚げ屋さんへお邪魔しました。驚嘆したのは「いぶりがっこ&マスカルポーネ」という肴の一品で、これが実に素晴らしいのです。


スライスにしたいぶりがっこ(燻製した漬物ですな)の横にマスカルポーネが添えているだけです。秋田に仕事で何度か行ったときにいぶりがっこを食しましたが、それほどの感動はなかっただけに、このギャップに驚きました。


最近、居酒屋で「蒸したジャガイモと塩辛」を見かけますが、これもなかなかいけます。もう時代に見捨てられてそうな食材がこうやって新たな食文化になりそうな気にさせてもらうのは楽しいですなあ。


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