ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

01月28日

明日、土曜日も仕事です。


とどめは夜9時から、都内某所での新しいショップ・アイデアのブレストです。でも、優秀なクリエイターを揃えました。売れっ子であれば、この時間とはいえ捕まえられたこと自体が幸運です。そして、彼らとフリーのディスカッションとなります。


こちらの役割はナビゲーター、モデレーター、ファシリテーターです。(なぜ、この手の単語は外来語ばかりなのでしょうか?)いいアイデアを引き出し、戦略に沿ってプランに組み込むのが目的です。


実は、楽しいんですけどね。

01月26日

2社(当然ながら、業種は異なります)で、「新製品開発」のコンサルティングと「新製品開発フローの開発」のコンサルティングをそれぞれ受けることになりました。ほぼ同時スタートです。


昨日は大工仕事、今日は大工道具の職人といった調子です。


会社の特徴が違うので、片方の経験すべてがもう一方のノウハウになるわけではないですが、大工さんはこんなときにこんな道具が必要なんだなあ、道具職人はこういうものを作ってくれればなあ、という自己完結型カスタマイズのノリといったところでしょうか。


弊社のメインは仕組みづくりなので、新製品開発フロー案件の方がフランチャイズです。新製品開発業務をあまり積極的にお受けしないのは、好き嫌いといった生理的な感情ではなく、時間的な制約がきつく、すべての業務に影響しやすいからです。


発売日を決め、生産日程を組めば逃げ場はありません。当然、そのスケジュールに従えば、「土日は発売後にまとめて取って下さい」となります。分かってはいながらも、のっぴきならぬ事情もあって、前回に引き続き新製品開発第二弾をサポートします。


もちろん、家を建てると決めた以上、雨漏りや隙間風は論外です。それどころか普通の家でいいのなら、わざわざ頼みに来ないでしょうから、棟梁としての腕も見せなければなりません。


結構、大変です(本音)。

01月24日

本が発売されましたので、ご案内します。


【新刊のご案内】


「マーケティング 基本と実践力がイチから身につく本」 すばる舎 ¥1,400


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■想定している読者


・入社3年目社会人 自分の仕事はこなせるようになった人。マーケティングについて社内で単語を耳にすることが増えてきたけど、直接、仕事で困っているわけではない。でも、そろそろ話題についていけるだけのことは知っている方がいいのではと思っている人


・入社1年目社会人 広告代理店や企業のマーケティング部門へ勤務する人。ともかく、即効でマーケティングの実務知識をつけたい人。でも、時間がないので手軽に済ませたいと願っている。


・大学の経営学部4年生 専門課程を学んだものの未だマーケティングの概要が良くわかってないと後悔している人。会社に勤める前に、何とか断片的な知識を整理したいと考えている。
(立命館アジア太平洋大学で今期「消費者行動論」を履修予定のあなた。そうです、あなたのための本です)


■本書の特徴


・一つの専門知識を見開きで、少ない文章と大きな図表で解説し、まずは、直感的に分かることを優先している。


・ほとんどの用語はフィリップ・コトラーの体系に準拠してるので、今後、コトラーなどの専門書を読んでも繋がりを持てるようにしている。


・日本企業の具体的な商品名を事例として多く活用し、知識が現実から離れないようにしている。


・・・ということで、たぶん、このHPをご覧になる方(除く大学生)のレベルからすると初歩的な内容になっているのではないかと思います。


後輩の指導、部下の教育などのテキストとして力を発揮しますので、ご検討ください。

01月18日

風邪の菌と連れ立って、名古屋へ一泊二日の旅をしてきました。(辛笑)


いつも泊まりは名古屋駅か栄ですが、今回は初めて金山のホテルにしました。翌日のクライアントが名鉄沿線ということと、名古屋ボストン美術館へ立ち寄りたかったからです。ジュージア・オキーフ(アメリカのモダニズム)が目的です。ずーっとその画風から男性だと思っていた画家です。ちなみに、この反対に長らく女性と思っていたのが古賀春江(日本のシュールリアリズム)でした。(恥笑)


アメリカン・アートはウォーホールやリキテンシュタインのポップ系が有名ですが、具象絵画のオキーフは十分、それと伍しています。芸術の価値は常に時代背景を目盛りにして測られるため、時代性の強い絵画は有名であっても時間経過とともに評価がこなれてきます。


一方で、そういった流行り廃りから距離のある芸術作品の中には徐々に評価が高まっていくものがあります。オキーフの絵画もそれらに分け入るでしょう。展示点数はそれほどでもないのですが、さすがの審美眼。秀作ばかりです。


ついでながら、同時に展示されていたボストン美術館所蔵「日本の絵葉書」はナメて入ったせいか、質の高さにちょっと衝撃がありました。これから仕事だというのに、思わず画集も買ってしまいましたからね。(照笑)


上村荘園(うえむら・しょうえん)や鏑木清方(かぶらき・きよかた)から名も無き絵師たちまでのコレクションは、蒐集はカネではなくセンスであることを教えてくれます。


金山駅で名鉄を待つと、あっち行き、こっち行きとバラバラの電車が同じホームに二分間隔で入ってくるため、我が行き先は次か、その次かと必要以上にドキドキします。どうも、こちらにもそれなりのセンスが要求されるようです。(汗笑)

01月16日

金曜日は徳島で3回のセミナーの最終回でした。


風邪をごまかしごまかし持ちこたえましたが、終了間際はほとんど声が変質し、帰りの空港では、もう声そのものが発することができず、手信号状態にまでなっていました。土日で建て直しを図っております。とにかく、セミナーご参加の方々にご迷惑をかけないで済んだのが何よりもの幸運でした。


ご参加いただいた方々には御礼申し上げます。


今回は参加費が無料ということなので、当初、参加者のモチベーションを強く危惧してました。来ない、乗らない、起きてられない、などタダだから緩む気持ちが雰囲気を壊すのではと思っていたからです。


これは、徳島の方々に失礼な先入観でした。参加モラル高く、質問は具体的でかつ実践的視点を外さず、ワークショップは積極的な議論を好むなど、恐るべし徳島、を痛感させていただきました。


「タダだから緩みやすい」とうのは己が普段そう振舞っているから他の人もそうであろうと見なしていたのだなあ、と反省しております。この風邪はその罰かも知れません。(苦)

01月11日

本日はサテライト・オフィスにて内勤しています。1月はリサーチ案件が多く、それも分析・評価・提案のポスト・リサーチ業務です。


弊社は直接、調査自体をしませんが、実施までこちらがフォローすべきときは案件の特徴に沿ったプロと契約して進めます。「お互いどこまで分析できるのか比べ」みたいなプロ同士の火花の散りあいが、仕事を深くし、提案に迫力を持たせます。腕のいいリサーチャーへの「まいりました」も個人的には悔しいですが、会社的には嬉しいのです。


■「少子化」で学ぶリサーチ分析の基本


日経新聞が社運を賭けた「少子化」キャンペーン(賭けてないか?)から、リサーチ分析のコツについて解説してみましょう。


前提について
「少子化」自身が本当に問題なのかどうか、本来はここから規定すべきですが、結局、「理想の人口構成は何か?」といった基準提示にまで行き着くので、ここではそこについては触れません。


さて、「少子化」が問題である、ということにして、どのようにアプローチすべきか考える時、以下のような分析によって解決アイデアの出し方が楽になります。


まず、分析対象を女性としてみます。
(年齢幅を書くのは危険なのでお任せします・・・笑)


①「未婚ーこれからの結婚意志なし者」→その理由
②「未婚ーこれからの結婚意志あり者」→その理由
③「既婚ー子供ゼローこれからの出産意志なし者」→その理由
④「既婚ー子供ゼローこれからの出産意志あり者」→その理由
⑤「既婚ー子供一人ーこれからの出産意志なし者」→その理由
⑥「既婚ー子供一人ーこれからの出産意志あり者」→その理由
⑦「既婚ー子供二人ーこれからの出産意志なし者」→その理由
⑧「既婚ー子供二人ーこれからの出産意志あり者」→その理由
⑨「既婚ー子供三人ーこれからの出産意志なし者」→その理由
⑩「既婚ー子供三人ーこれからの出産意志あり者」→その理由
以下、このパターンで子供の人数が増え、それぞれ番号


①が②になり、②が③になり、③が④にと、該当しているクラスが次の番号に進むフローを少子化解決の考え方にしたものです。


そして、そのための解決すべき課題点を「その理由」から抽出していく手順です。つまり、番号がガッチャン、ガッチャンと次へ次へと移ってくれる対処アイデアが最終的に出生率アップに繋がるということを意味します。


「その理由」はいくつかのクラスターに分かれるので、その後、他の「デモグラフィック」要素(所得・職業有無・住居形態など)との相関を見ると、「その理由」から解決策を見つけたとき、施策の対象者が明確になりますね。


余談になりますが、「その理由」を聞き取るためにはデプス・インタビュー(一対一)が不可欠ですし、男性(特に上記それぞれの配偶者)も同様に調べ、夫婦間でのギャップも取るのが望ましいです。


これは、ノンユーザー→トライアラー→リピーター→ロイヤル・ユーザーという既存商品のユーザー分析を当てはめただけのものです。実は、分析には時系列比較、競合比較、セグメント区分比較の三つがあります。


上記は、最後のセグメント区分比較になっています。少子化の時系列比較は、年次で見る出生率低下の問題提起データです。競合比較は、北欧に比べてどうだとかいう話です。


こうやって考えると簡単ですが、デプス・インタビューの人数は膨大なので、予算は大変です。税金ですからね。とりあえず、日々のマーケティングでは有効です。(笑)

01月08日

マーケティング・コンサルタントなら流行に詳しく、流行りものに強いと思われがちです。
でも、そうでもないんです。(本人だけか?)


興味があるのは、その先の話です。どんなモノゴトが売れてるかは正直、どうでもよく、誰が支持しているのかに非常に関心があります。ですから、流行っているものがあると、買いに行くのではなく、誰が来ているかを見に行く輩です。


特に、盛り上がっている現象が、想定外の人に受け入れられていることを知ったときは、サスペンス映画や推理小説のどんでん返しのような一種の爽快感があるので、そういった見方から抜け出せなくなりました。(笑)


新たなるプロデュース・ゾーンが教えてくれるもの


最近読んだ本で、「考えさせられる現象」に気づかされたものたちを紹介します。


・「へんないきもの」(早川いくを:バジリコ社)
・「科学する麻雀」(とつげき東北:講談社現代新書)
・「本秀康名作劇場」(本秀康:小学館)


これらはたまたま見かけて買ったものや、人から薦められたものです。いづれもハイブリッド型というか、重層型というか、通常のジャンルが一段落しないと成り立たないような本です。


「へんないきもの」は、生き物図鑑を面白く解説したものですが、通常の生物学+インパクトのあるビジュアル表現+笑える脱力系の解説、といういくつもの階層を持つことで成立している本です。


「科学する麻雀」は、麻雀スキルのための解説本ですが、通常の麻雀解説+統計学活用による実証+新書というフォーマルでオーソドックスな装丁様式、というこれまた異種な要素を統合した、ユニークな本です。


「本秀康劇場」はマンガです。「三丁目の夕日-夕焼けの詩」西岸良平スタイルのノスタルジックな絵+荒唐無稽でありながら起承転結を維持するストーリー+人間性をモチーフとして使う冷めた視線、などが一体となった不可思議なマンガ集です。


これらは読者もそこそこのジャンル知識や体験がないと読んでも面白くないものばかりです。ですから、気づくのは、こういった本が多く出回り始めた理由は何かという点です。
最も感じるのは、こういうタイプの本を出版社がプロデュースしようとする時流にあるということです。


従来であれば、あまりにも狭い範囲でしか売れないだろうという判断で、出版そのものがありえないような本です。それが、経済的な勝算を匂わせる世界になってきたわけです。


通常のジャンルの知識が一巡し、その細分化による展開も成熟し、知識の表層は無味無臭になってしまったのかも知れません。意外なものを何層にも組み合わせることでマーケットを創出しようとする段階に我々はいるのか、そんな思いを嗅がせてもらった本たちです。


01月03日

こういう世の中に住んでいると、今日、こうやって無事に過ごせたのも奇跡に思えてきます。
きっと、奇跡なのでしょう。


この奇跡に直近の仕事を継ぎ足すのは不遜の限りなのですが、小人としてはそれもやむなく、抱えている執筆案件に取り組んでいます。


ここ数日、筆の重さが指から行き詰まり伝えていたようで、一旦、すべてを見直すことにしました。こういう場合、いつも道に迷い、行き先を失っていることが多いのです。


もう一度、来た道を戻って、大通りから進みなおすのには勇気が要ります。せっかく書き込んだものを消し去る作業になるからです。
かなり未練も残ります。


でも、部分的にでもどこかを捨てない限り、より大きな展開がないこともあります。いままでの努力を否定することで救われることもあるのです。


スペースと変革<その2>


元旦に、今年チャレンジしようとするものを書き出しておきながら、暮れにはいつもの一年になっていることが多い人生は、奇跡という観点からは感謝すべき素晴らしい生き方かも知れません。


それでも、もし、そこに新たな自分を求めていくのであれば、スペースを探すことが肝要ではないかと年末に書きました。せっかくですので、話を深めると、スペースには外に広がる空間と内に陣取る世界の二種類があります。「外で探すスペース」が先のものです。それに対し、後者のスペースは、まさに「内を広げるスペース」です。


去年にはなかった何か未知のものに挑戦しようとするとき、新たな覚醒、努力、執着が要求されます。一方で、昨日までは80%の力で生きてきました、そういう人はほとんどいません。100%の自分で走ってきた、もしかすすると120%の全力投球だったというのが普通です。


つまり、我々はいっぱいいっぱいで生きています。


ですから、新しいことにチャレンジと言ってみても、キャパシティは既にオーバーすれすれです。内なるスペースはいつのまにかぱんぱんの物置状態で、片付けることでやっと広がります。

何を諦めるのか、何を除くのかは人それぞれですが、「今から未来への挑戦=過去から今の取捨選択」が個人の変革が求めるもう一つの環境条件のようです。

01月01日

謹賀新年。
2005年も何卒、よろしくお願いします。


こうやって近況報告を書いては足し、流しては溜めていくと、本人にとっては何やら日記のような意味合いも持ってきます。


昨年の元旦はどうもこれからの方角について考えていたようです。なるほど、で、今年は、そこへの辿り方について思いを巡らしているのだな、と合点しています。


そっと湧き出した心の中の伏流水が、感覚の川に姿を変えながら、海への道筋を探っている、そんな状態なのかもしれません。


去年のBGMは、マーラーでしたが、今年はラウンジ系でチル・アウトです。ここに関しては、明らかに一貫性に欠けてます。(笑)


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