ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

09月20日

信州松本の9月。松本は5月が最高の季節と聞いてましたが、9月はそれ以上ではないかと思わせるような気候なのでした。気温良し、湿度良し、風もまたよし。ついでに青空はトンボだらけなのです。旅する方々にもお奨めできます。


■収束の源流へ還る


最近の仕事について。今月の初頭も仕事ツアーで東京に行きました。おおよそ二か月に一回は以前からのクライアントへのコンサルティングで松本→新宿→どこかのホテル、同じクライアントなのに常宿は今のところなし、という道程を繰り返しております。


どのクライアントもお付き合いが長いオーナー企業のため、移住に伴って断ることもできない関係が続いており、むしろ相談役の名目が相応しいであろうヨロズ相談員でしょうか。そんな中でも不思議と難題は尽きません。それを経営と呼んでしまえばそれまでなぐらい、毎回のお題が会議室で自分のことを待っているのです。


今月目立ったものの一つに、「商品開発のためのアイデアをたくさん出したはいいけれど絞りきるのに難儀しています」というものがありました。とあるB2B企業が次世代に向かって新しい市場を創れそうな商品を準備したい、そのための開発テーマを決めたいというのが動機です。まあ、気合も戦略も十分な業務ではあります。


しかし、主要部門の主要な社員が商品開発アイデアを出し尽くしたものの、100ぐらいある案をどうやって選択していけばいいのかについてはやはり悩ましのです。結果、相談役でしょあなた的な話に行きつくのも無理ない展開ですね。


さて、100のアイデアがあっても、それを収束する手立てがないと、最終的に投票数で決めるような乱暴な手段で終わってしまいます。投票が悪いとは言えないものの、発案者たちで選ぶものはだいたいが反対者のいない手堅いが面白みのないもの、または、斬新だが抽象的すぎて実施の手がかりさえないものになっていくのが相場です。こういった場合、100の情報をいきなり1(ないしは2,3の)にすること自体にこそ課題があるのです。


そこでのアプローチ・・・


●100のアイデアをポストイットに書き写し、そこに「なぜそのアイデアが出たか、背景(きっかけとなる参照や経緯)を発案者に追加で書いてもらう
※その時は全員がその場にいなかったので、必要に応じて手分けして当事者に電話


●グループワークで100案に添えられた背景違いでポストイットをグルーピングする。その結果、8区分に分かれた。
※グループワークは2つのグループで行い、出来上がった分類をお互いにシェアして、最終版に至る


●全員で8区分に対し①自社が得手で良く行うパターンのもの、②自社ではあまりやらない未知のパターンで、それぞれ上位3区分を選ぶ
※①と②は同軸の両端なので、8区分は①から②に向かって(同時にその反対)グラデーションができ、一列に並ぶ


●①の上位区分の中にあるアイデアを選ぶが、そこで終わらせないで必ず②の上位区分の中にあるどれかのアイデアと組み合わせる。これは比較的手堅い商品開発の方向性。この逆の組み立ては比較的革新的な方向性。
※手堅すぎ、世離れすぎを避けながら、それでいて100のアイデアの発案者たちも納得して最終案に向かっていける


こんな流れです。
俯瞰してみると、最初に100あったものが8になり、8が2になっていく訳です。2の乗数で見ていくと、6か7(2の6乗=64、2の7乗128、100案あるというのはその間という意味)が3(2の3乗=8区分)、最終的に1(2の1乗=2方向)となってます。


6→3→1、つまり、数字がほぼ均等に減っていく収束ですね。関係者に収束の現場の目撃者になってもらうことが重要なので、ファシリテーターはひたすら彼ら彼女らの表情から「腑に落ち感」を読み取っていくことになります。ちょっとでも曇ったら、すかさず立ち止まって問いを投げます。


収束はプロセスが全てです。ここが共有できていれば選んだ案が途中でつぶれても、次の一手が浮かんできやすいんですね。そもそもアイデアは孤立した存在ですから、それらから独自の文脈を浮かび上がらせることが狙いとも言えます。


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<追記>カフェの話の続き


松本周辺、安曇野地区を含めたカフェの多くは女性向けというか、フェミニンを基調としたものです。オヤジ一人で長居するには少々気後れする(自意識過剰かw)お店が主体ですが、それでもこれだけ数多くあるとニュートラルでちょっとワイルドな風情のものもあり、有難く通わせていただいております。


市内なら「憩いの森」「ミチシタ」「半杓亭(はんじゃくてい)」、安曇野だと「チルアウトコーヒー」ですかね。写真は昨日行った「Good Old Land」、最近オープンした超野性的なカフェです。いやあ、ここまでやるのかってな店です。森の奥地に佇んでました。ぜひ、長生きしてほしい!



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