ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

07月20日

小さな会社だと、どんなに業績が順調で羨ましがられる状況でも、ほぼ間違いなく苦労しているのが人の問題です。辞める・育たない・採れない、といった悩みです。


経営者のほとんどの仕事は人に関するものです。逆を言うと、人の課題に適切な対応ができている経営者は優秀とも言えます。数字はなんとかなるのです。


■経営視点で考える原子力発電【その1】経営リソース


原子力発電の技術的な部分はさておきます、よくわからないからね。そんな自分でも土地勘のある経営という観点から原発の今後を見てみることはできます。一番気になるのは、最も重要な要素であるヒトの部分で大いなるリスクがあることです。


経営リソースの4大要素、ヒト・モノ・カネ・情報のうち、日本の原子力発電において充実していると言えるのはカネだけです(でした、かな?)。それだけでモノと情報を何とかしようとしてきたのが昨今までのお話なのですが、肝心のヒトがかなりまずいまま、つまり、危険な状況と見ています。


原子力発電の経営リソースで「ヒトのヤバさが引き起こすもの」は図表のようなフローで表せます。



原発の現場である原子力発電所で働きたい人が減っていき、それが及ぼす影響の流れです。今もそうかもしれませんが、ますます加速していきます。その主な理由は、①危険だから、②キャリアとして魅力不足、③生活そのものが不便、です。


①危険だから。
福島の事故の様子を見ると就職先として選ぶには躊躇しますね。生命の危険だけでなく、結婚相手としてもリスキーなので結婚できない危険性も高まりますかねえ。常に緊張を強いられる精神的負荷も高すぎます。


②キャリアとして魅力不足だから。
世界のエネルギー政策は多様化しており、現時点では原発は縮小の可能性もあり、原発のスペシャリストが長期的にリスクがありそうです。キャリア・デベロップメントを考えれば考えるほど、職業としての選択理由は落ちていきます。


③生活そのものが不便だから。
原発半径50kmというキーワードから多くの生活関連ビジネスが出店などの投資を避けます。買物、娯楽、教育、もろもろのサービス業は経営の観点から直接の営業を控えてしまいます。新しいサービスなら尚更です。自動的に、その中の人たちの生活はすこぶる不便なものになります。


すると人材不足が生じます。人数が足りないという量的だけでなく、気の利いた人がいないという質的にも不足していくでしょう。人の気持ちに沿ってみると、人心掌握できてないビジネスの不遇を見ますなあ。


この人材不足が具体的にどういう影響に出るかというと・・・


原子力専攻の人々でさえ避ける就職先になり、、専門性は弱まります。すると、現在働いている少ない有能な人たちに高度な仕事が集中し、これが疲弊を引き起こすでしょう。集中力は欠如しやすく、体調管理にも不具合がでれば現場の統制に陰りが出ます。


また、素人集団度合いが高まると、素人判断が横行します。東海村のバケツ事件は記憶に新しいところですね。原発は高度な科学技術の集積のはずです。遂には、運営マニュアルすら読みこなせない可能性さえでてきます。


おまけに、それをサポートする外部の企業でも優秀な人材は将来性のある他部門に回されるでしょう。皆が行きたがらない原発サポート部門では同様に人材不足が起き、トラブル解決能力も劣化していきます。


するとどうでしょうか? たぶん簡単なトラブルは問題なく解決できるでしょう。しかし、ちょっと複雑な状況になったら?、初動でうっかりミスを犯したら?、今度はどうですかね。


福島は天災が引き金でしたが、次回は間違いなく人災でしょうなあ。科学技術に疎いマーケティング・コンサルタントごときでもそのくらいは読めます(苦笑)。ただ、それが世界中のどこになるかは、マーケティング・コンサルタントごときでは分かりません。ごめんなさい。

07月13日

子供の活動範囲が広がると、親の活動範囲が狭まるような時期に来ております(笑)。ハイハイはオイオイと対語であることを学習中です。平日内勤日2日でも足りないかなあ?


現在、中期経営計画書をワークショップで作成するという案件が2つのクライアントで進行中です。たまにしか来ない案件が重なるのは偶然なのか、引き寄せてるのか、それは不明。


時間軸は10年と3年なのですが、ビジネスの土俵が異なるので、ビジョンから組み立てる構成は同じです。つまり、商品サイクルが全く違うが、考え方は変わらないっていうやつですね。


■結晶度と生鮮度


ポータブルな知識というのがあります。持ち歩きが便利で、長く使っても廃れないような知識です。マズローの欲求段階とか、タルドの模倣の法則とか古典的だが今も残っているものたちで、時間に耐えるだけの結晶度合いが高い知識たちです。


一方で、ファッショナブルな知識もあります。今、ここで使うといい感じな知識ですかね。流行りのソーシャルネットワーク系の知識の多くは後者です。90%ぐらいは鮮度が命の情報から成り立ってます。こちらは生鮮度が高いと言えます。


3匹のコブタの世界では、ワラの家は生鮮度は高いが長く持たず、レンガの家は結晶度が高いけど、築くのは大変でした。現実の世界は童話の筋書きどおりではありませんし、結晶度が高い知識>生鮮度が高い知識、というわけでもありません。


しかし、ポータブルという意味で結晶度が高い知識のほうが、長く生きていこうとする者の荷物を軽くしてくれるので有り難いとは言えます。どんなに異なるタイム・スケール、商品カテゴリーの経営計画書も、共通の視点で組立が可能となる原理と同様です。


むしろ、重要なのは生鮮度の高い知識から結晶を取り出す作業ではないかと思っています。SNS関連知識から普遍的なコミュニケーション原理を汲み取っていく構えが、大量な知識を持たなくても身軽さを保てるコツだと信じています。


そういう構えをとろうとするとき、既に結晶化された叡智たちが役に立ちます。なぜ結晶化できているのか?、どうやると結晶化できるのか?、ヒントを与えてくれるからです。


ましてや、ビジネス世界で生鮮度の高い知識に日々晒されながら、それらの結晶化を試みるなら、対極にある宗教学、哲学、社会学、科学、美学などにある結晶度の高い知識と触れる機会を意図してつくることが大切なのだと痛感します。


外見はワラの家に住みながら、内側でレンガの家を少しずつ積み上げていくような生活こそ肝要ということでしょうか。


ついでながら、「赤ん坊は生鮮度が高い存在に見えるが、実は結晶化された存在なんだ」、そう言い聞かせることにしましょう!(笑)

07月08日

7月7日は弊社の創業記念日です。お陰様で独立してから13年目の途中、会社にしてからは11期が終わったことになります。これも皆々様からのサポートあっての話です。深く御礼申し上げます。


いやー、それにしてもよく続いてるね。いやいや、もしかすると、続いているのではなく、毎日コロコロ変わっていった果てが今日なのかもしれません。


2000年デビューの頃って、仕事の必需品がFAXやOHPの世界だったんですよ。きっと、それはそれで最先端のアナログ機材だったのでしょう。そう思うと、自分の中のソフト、当時の考え方や伝え方などもすっかり様変わりしているはずですね。


7日、8日は久々の消費者調査立ち会いで、土日出勤となっております。、新商品のコアターゲット像を抽出し、コミュニケーション戦略のヒントを探る貴重な機会です。こうやって市井の人々の普段使いの発言を傾聴するだけでも、微細な世間の動きや静かな時代のうねりを自然に取り込めているのかもね。


自動変革装置付きの仕事だとしたら有り難い職業です。


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