ヤスハラ・マーケティング・オフィスの近況

06月24日

なんだか、多種多様な出来事が起きてきて、ぐるぐるっとしている日々を過ごしております。精神的な立ちくらみを感じるのですw。最近、ブランディング・ワークショップ研究会を立ち上げて、ZOOMにてグループワークをしてもらってます。次の、というかより広義のブランディングを考えてみようとしてます。


その流れで、今回の近況報告は珍しく(?)、ブランドに関するお話。関係している業界で働く方々への、新たな問いへのお誘いw、でもあります。


◆「マーケティング・オートメーションに対して、ブランディング・オートメーションは成立するか?」


マーケティング・オートメーション(以下MA)は、マーケティング業務の自動化を意味しています。リサーチ案件やカスタマージャーニーでのタッチポイントごとにAIによる対応など、まだまだイケるって感じでしょうか? AI化はマーケティング・オートメーション化のコアになっていくでしょう。


さて、まだまだイケる、と小生が書いたのはあくまでもマーケティング活動がゴール設定を前提にしている限りはという条件付きです。ゴール設定できるって当たり前のように聞こえますが、そうでもないです。


KGI(キー・ゴール・インディケーター)がスコア化できていれば、どんなものでもオートメーション化できる、と言っているので、スコア化ができないのであれば、正確にはゴールを客観的に定義できないのであれば、マーケティングであろうがなかろうがオートメーション化は部分的にとどまると考えます。


将棋やチェスといったゲームはゴールが設定できます。勝つ状態が定義できてるからです。こういったものはAIで最後までカバーできます。100%オートメーション化できます、つまらんけど(苦笑


マーケティングができて、ブランディングがオートメーション化が難しそうなのは、このゴール設定が未知である流動的だからです。マーケティングは過去(データとか)から現在を評価し、その延長線上に未来を考えるものです。


一方、ブランディングは未来(志とか、まだ見ぬビジョンとか)から現在を評価し、その延長線上にもう一度、未来へ向かう道筋を想定するものです。なので、マーケティングは過去と未来を同じKGI言語でつなげます、だから、じゃあ次はこれねが成立するのです。


しかし、ブランディングが立脚するゴール(らしきもの)は、志やらビジョンはやビジョンといった曖昧な人の心の中にあるものです。都度、周囲の状況で表現が変わる多様なニュアンスでしか表現できないものです。つまり、ゴールが流動的な振る舞いをするものなのです。


もし、誰かがブランディング・オートメーションという言葉を発したら、それは、マーケティング・オートメーションのパッケージ違いぐらいの差の可能性があります。これはヤスハラ説でしかないので、ご留意ください。


このマーケティング・オートメーションとブランディング・オートメーションの話って、AIのカバースピードを予測する話と繋がってて、問いとしては面白いかな、そう思うのです。


06月14日

小生が監事をやらせていただいている一般社団法人Integral Vision & Practice(インテグラル・ヴション&プラクティス)代表理事の鈴木規夫さんの新刊「人が成長するとは、どういうことか」がでました。


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著者の鈴木さんとは2005年からの付き合いです。まてよ?、最初は鈴木さん主催のケン・ウィルバー研究会に参加したことがスタートなので、先生と生徒の関係でしたかな? 当時はケン・ウィルバーって超が付くほどマイナーな存在でした、その勉強会でしたからね、もう人目を忍んで集まるような隠れキリシタンのような存在だったような気がします。どんな方々が参加しているのでしょうかと不安で、おどおどしながら教室のドアを開けたのを鮮明に覚えてます。2005年4月の日曜日、祖師ヶ谷大蔵にある日大の教室でした。休日のせいでしょうか、冷んやりとした静かな校舎内を思い出しますなあ。


月日は流れ、2021年6月。ケン・ウィルバーもインテグラル理論も大きく世間で扱われるような時代になりました。社会のメインストリームを歩むビジネスマンたちがプレゼンテーション資料に織り込むまで浸透しています。さてそんな昨今、交友も15年を超えるほどになった鈴木規夫さんの著書が発刊されました。コーチング業やカウンセラー業に携わる人向けの、対人支援の見取り図といった本です。当然ながら、コンサルティング業も含まれます。ビジネスをサポートするといっても、コンサルティングは対人支援ですからね。


相手の視点を変えることがコンサルタントにも求められます。ですが、本当は相手の視点だけでなく、視座そのものを変容させることが求められます。クライアントの視点だけ変えても、戻って来ちゃうんですよね。ビジネス的には意思決定したはずのプランなのに、最後まで実務を遂行できないのです。元々あったクライアントの持つ視座は強力で、再解釈されては、「やっぱり無理だ」「そうは言ってもこっちだった」みたいな、全部が高価な知的ゲームでした的なオチが待っているのです。


もちろん、同じようにコンサルタントも人なので、こちらの視座だって十分に怪しい。偉そうな態度は微塵も取れません。お互いの視座劣化は、重なり合ってやってくるのです。で、フィーは貰ってるから、まあ、この辺でいいか、と手を打ち、妥協する・・・w。できれば避けたいものです。


いかんせん、相手の思考の動きを見定めようとしながら、自分の思考の動きにも気づくようにするのは大変です。おまけに、内省にも大きく2種類ありまして、上昇系(発達段階を上方向)と下降系(発達段階の下方向)があり、ここのどちらを進んでクライアントと向き合うのか?、どのようにビジネスの現実との折り合いをつけるのか?、ゆらぐのです。その時の地図(Hidden map)がインテグラル理論であり、それを対人視点業務へ適用させたものがこの本なのです。(・・・だと思う) 


ということで本の話に繋がるわけですけど、対人支援業務に関わっているのであれば、目は通しておきたい書籍なのです。しかし、サラッと読んで、「ふむふむ、そうなのね〜」というやわい内容ではありません。ずぶずぶとインテグラル理論の世界へ貴殿を誘うことになるでしょう。隠れキリシタンとして集うことで信仰の命脈を保ってきた気分を、微かにでも味わっていただければ幸甚です。

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